大谷翔平はなぜ三振が増えた？　厳しくなる敵軍のマーク…3冠王へ鍵握る“高めの幻惑”

大谷は2戦連続3三振…三振割合は6月まで20.3％→7月は35.8％

【MLB】ジャイアンツ 8ー3 ドジャース（日本時間25日・ロサンゼルス）

　ドジャース・大谷翔平投手の三振が増えている。24日（日本時間25日）の本拠地・ジャイアンツ戦では2試合連続となる1試合3三振。7月は81打席に立ち29個の三振を喫している。打撃3部門でリーグトップ3に立ち、相手側からも警戒されている。

　今季の大谷は開幕から三振が少なかった。今季1試合3三振を初めて喫したのは出場32試合目となる4月30日（同5月1日）の敵地・ダイヤモンドバックス戦。6月終了時点では375打席に立ち僅かに76三振、割合で言えば20.3％。エンゼルス時代の昨季の同期間は394打席で109三振で27.7％と大きく改善していた。

　一方で、7月はここまで81打席で29三振。すでに1試合3三振は5度目で5日（同6日）の本拠地・ブルワーズ戦では自己ワーストとなる前日から6打席連続三振を喫した。中でも高めで三振を喫する場面が多くみられる。

　24日（同25日）にマスクを被ったジャイアンツのカート・カサリ捕手は「彼（大谷）は背が高く、高めの球を振る傾向がある」と分析。実際にMLB公式サイトのデータサイト「ベースボール・サバント」を見るとストライクゾーンのスイング％は真ん中高めが86％、内角高めが88％で9分割の中で一番高い。さらにボールゾーンでも内角の高めに外れた球が一番高く45％を誇る。

高めをスイングする傾向はある一方で本塁打も高めが多い「打てる球だと思わせる」

　一方で今季の大谷の本塁打を見ると30本中真ん中以上の球を打ったのは実に25本。カサリは「（大谷が）パワーを発揮するほとんどの場面は、ウエストより上の球だ」と説明した。そこで鍵を握るのが大谷をいかにスイングさせるか。「だから、彼が本塁打を打てる球だと思い込ませたかった。（高めに投げて）伸び続ける球か、消える球（変化球）なんだ」「私たちが振ってほしいと思う球を振らせること。焦らそうとした」と抑える手の内を明かした。

　実際に先発したレイは空振り三振を奪った2回とも最後は高めのボール球の直球。逆にここまで対戦5打席で5三振の“宿敵”エリック・ミラー投手は追い込んでから1球内角高めの直球を投げ込み、その後最後は低めのチェンジアップで仕留めた。ボブ・メルビン監督も「（同じ抑え方は）長続きしないから、彼からアウトを奪うには（毎回）違うことをしないといけない」と工夫を明かす。

　大谷はここまでリーグトップの30本塁打、同2位の打率.310、同3位の73打点をマークしている。3冠王も射程圏内の活躍を見せている。大谷は以前「ゾーンの確認だけしないといけないので、毎打席どういう状況でもそれだけは徹底して」と話していたが、厳しいマークの中、いかに自分のストライクゾーンをキープできるかが、タイトル争いを左右しそうだ。

（川村虎大 / Kodai Kawamura）