強豪続々敗退も「こういうのが面白い」 低反発バットの影響も実感…馬淵監督の“考え”
明徳義塾・馬淵史郎監督…低反発バットの影響に言及「いろんなところが勝つから面白い」
低反発バットの影響は名将の目にどう映ったのか。第106回全国高校野球選手権大会は16日に大会10日目が行われ、第2試合で明徳義塾(高知)は関東一(東東京)に2-3で敗れた。試合後、馬淵史郎監督は「守れない、バントできない。負けは必然、勝ちは偶然というが、今日は必然の負け」と悔やんだ。
明徳義塾の名将が動いた。1点を追いかける7回に2本の安打で無死一、二塁の好機を作ると、すかさず4番の竹下徠空内野手(らいあ・3年)に代打を送った。一打逆転の場面だったが迷いはなかった。「あそこは4番でもバントの場面でした。だったら、バントの上手い選手を(代打に)送ります。3、4点追いかける場面なら打たせましたけどね」と指揮官は采配の意図を説明した。
今年から金属バットに低反発の新基準が設けられ、本塁打数も減少傾向にある。飛距離が出ない分、長打力のある選手の多い高校が有利というわけではなくなった。改めてバントなど小技の重要さについて馬淵監督は「長打とか考えられない。やっぱり好投手を崩すにはバントと守備。今日は外野を越える打球は1球もなかったでしょ」と胸中を明かした。
さらに今大会は選抜王者の健大高崎(群馬)や準優勝だった報徳学園(兵庫)、大阪桐蔭(大阪)など強豪校が早い段階で姿を消している。そんな状況に馬淵監督は「バット(の影響)もあったんでしょうね」ときっぱりだった。
ただ、それも新しい魅力。「こういうのが面白いじゃないですか。ひとつの学校にいい選手がいっぱい入って、そこばっかりが勝つよりも。いろんなところが勝つから高校野球は面白い」。甲子園を知り尽くした68歳の名将。悔しい敗戦も、高校全体を見渡した話題に最後は笑顔だった。
(木村竜也 / Tatsuya Kimura)