2回KO降板で大荒れ…助っ人が激怒した背景 専門家は“理解”示すも「甘かったから」

巨人戦で2回途中に降板するDeNAのアンソニー・ケイ【写真提供:産経新聞社】
巨人戦で2回途中に降板するDeNAのアンソニー・ケイ【写真提供:産経新聞社】

横浜(現DeNA)など4球団で捕手として活躍した野口寿浩氏が解説

■巨人 12ー4 DeNA(26日・横浜)

 1998年以来26年ぶりのリーグ優勝を目指していたDeNAは26日、本拠地・横浜スタジアムで巨人に4-12と大敗。今季優勝の可能性が完全に消滅した。先発のアンソニー・ケイ投手は、不運な打球や味方の拙守もあって2回6失点KOを喫し、ベンチ内でグラブを投げつけるなど“大荒れ”だった。その背景を、現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が解説する。

 5点を失い、なおも2回2死一、三塁。ここで三浦大輔監督から交代を告げられたケイは、ベンチへ戻る途中、グラウンド上で3度何事か吠え、ベンチ内でも大声を張り上げながら、グラブを壁に投げつけた。その心境は、わからなくもない状況だった。

 初回に35歳の先頭打者、丸佳浩外野手にいきなり、三塁線を破る二塁打を浴び、送りバントで1死三塁。ここで吉川尚輝内野手が放った小飛球は、遊撃・森敬斗内野手と左翼・佐野恵太外野手の間にポトリと落ち、先制適時打となった。

 岡本和真内野手には左前打で繋がれ、続く長野久義外野手の初球に、二塁走者の吉川に三盗を決められ、動揺が広がる。1死満塁で坂本勇人内野手を投ゴロに打ち取り、併殺でピンチを脱したかに見えたが、本塁封殺の後、伊藤光捕手の一塁送球がワンバウンドし、坂本はセーフ。続く岸田行倫捕手に初球を左越え2点二塁打され、痛恨の追加点となった。

 2回には2死満塁から、長野の詰まった打球が中堅・桑原将志外野手と二塁・牧秀悟内野手の間に落ち、2点適時打に。桑原の守備範囲の飛球を、牧がやや深追いし過ぎたようにも見えた。降板したケイは「不運な当たりもあり、自分の思うような投球ができなかったです」とコメントを残した。

初回先頭の丸の二塁打も「普通なら三塁手の正面」

 確かに、ケイには同情の余地が大いにあった。だが、野口氏は「厳しいことを言うようですが、僕が見た限りでは、打ち取ったような当たりがヒットになってしまうのは、やはり投球が甘かったからだと思います」と指摘する。「吉川の当たりは、内角高めの球に詰まってはいたけれど、コースが少し甘い分、バットがしっかり振れていました。長野の打球も、バットの芯付近でとらえられていました」と説明した。

「ケイは基本的には、いい投手だと思います。ストレートが速く、スライダー、カットボール、チェンジアップなど球種も豊富。ただ、試合でいまひとつ生かしきれていない原因は、コントロールにあると思います」と野口氏。「降板時の態度も、周りに当たり散らしたのではなく、思い通りの投球ができない自分に対する怒りが含まれていたと思いますよ」と強調した。

 坂本の投ゴロで、伊藤の一塁送球がワンバウンドとなった場面も、野口氏の目には「まずケイからの本塁送球が低く、伊藤は態勢不十分で捕球せざるをえなかった。もう少しいいところに投げていれば、併殺を取れていたと思います」と映った。

 別の要素もあった。「初回先頭の丸の二塁打は、普通なら三塁手の正面への打球でした。三塁手の宮崎(敏郎内野手)が三遊間へ寄っていたために抜かれてしまった」と指摘。「宮崎の個人的な判断ではなく、チームが指示したシフトだったはず。丸の打球方向などのデータを基に、シフトを敷いていたのでしょう。まんまと逆をつかれました。丸が意識してそこへ打ったのかどうかはわかりませんが、あの一打で試合の流れが巨人へ傾きました」と見た。

 優勝の可能性は消えたDeNAだが、4位の広島と1.5ゲームの僅差ながら、クライマックスシリーズ(CS)進出圏内の3位は死守している(26日現在)。修正とリベンジの余地は、まだある。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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