守備中に飛んできた「小石や小銭」 子どもから痛烈な野次、忘れもしないファンの“蛮行”
5万4119人を飲み込んだスタンドが興奮度MAX…異様な雰囲気に
ドジャースは6日(日本時間7日)に本拠地・ドジャースタジアムで行われたパドレスとの地区シリーズ第2戦に2-10で完敗した。「1番・指名打者」で出場した大谷翔平投手は4打数無安打だった。7回のドジャースの攻撃前には、スタンドからグラウンドへボールや缶などが投げ込まれ、試合が9分間中断する騒ぎがあった。
これも興奮度MAXのポストシーズンだからこそ生まれた“余波”なのか。5万4119人の大観衆を飲み込んだスタンドが、異様な熱気を発した。7回のドジャースの攻撃前、パドレスの左翼を守るジュリクソン・プロファー外野手が、左翼席からボールが投げ込まれたことを審判に抗議。さらに、飲みかけのビールが入った缶などもグラウンドに投げ込まれる事態となり、試合が止まった。
最近では見られなくなったが、日本プロ野球でもかつては似たような光景があった。酷いケースとしては、東京ドームのビジター側外野席からラジカセが投げ込まれたこともあったという。
1974ドラフト2位で南海(現ソフトバンク)入りし、1986年に近鉄に移籍して通算2038安打をマークした野球評論家・新井宏昌氏は「私のプロ入りしたての頃、もはや約50年前の話」とした上で、「(福岡にあった)平和台球場や(近鉄が本拠地としていた大阪の)日生球場で、外野を守っていて、子どもにヤジられたり、物を投げつけられたりしました」と回想する。
どんな物を投げ込まれたのか。「小石や小銭です。小銭は1円玉、5円玉、10円玉などで、100円玉の記憶はないですね」と苦笑する。興奮したファンも、結構冷静に投げ入れる物を選んでいたのかもしれない。
低いフェンスが生んだ“ホームランキャッチ”「日本のファンにも見せたい」
問題の7日の試合では、初回のドジャースの攻撃で、1死からムーキー・ベッツ内野手が左翼へ本塁打性の打球を放ったが、プロファーがフェンスの向こうへグラブを差し入れ、外野席前方のドジャースファンとボールを争うような格好でスーパーキャッチした。
これが7回の騒動の“伏線”となった可能性もある。6回のパドレスの攻撃では、ドジャース先発のジャック・フラハティ投手がフェルナンド・タティスJr.外野手に死球を与え、次打者のプロファーとウィル・スミス捕手が口論する一幕もあった。
新井氏は「近年では、ファンのグラウンドへの乱入や、選手との不測の接触を避けるために、NPB球団の本拠地球場では外野フェンスが高くなっていく傾向がありますね」と指摘。「ただ、プロファーの“ホームランキャッチ”は、日本のファンにもぜひ見せたいプレーです。外野フェンスと観客席の間にブルペンを設けるとか、アクシデントを避けるための方策は考えられると思うので、フェンスを低くすることを検討してほしいと思います」と提言した。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)