大谷翔平に現れた“嫌な兆候” 左腕に3の0…専門家が指摘した「20センチのズレ」

メッツ戦に出場したドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】
メッツ戦に出場したドジャース・大谷翔平【写真:Getty Images】

NPB通算2038安打の新井宏昌氏が分析「初回先頭の初球によくない兆候」

【MLB】メッツ 7ー3 ドジャース(日本時間15日・ロサンゼルス)

 ドジャースは14日(日本時間15日)、本拠地で行われたメッツとのリーグ優勝決定シリーズ(7回戦制)第2戦に3-7で敗れ、1勝1敗のタイとなった。「1番・指名打者」で出場した大谷翔平投手は、3打数無安打2四球2三振。メッツ先発の左腕ショーン・マナイア投手に翻弄された。その要因を専門家が分析する。

 初回先頭の大谷は、メッツ先発の196センチの長身変則左腕マナイアに対し、145キロを計測した初球のボール気味のシンカーを打って出たが、ファウル。「私はこの初球を見ただけで、この打席は“期待薄”だと思いました。結果が出ない時の兆候が、現れていましたから」。こう語るのは、現役時代にNPB通算2038安打を放ち、現在MLB中継の解説も務める新井宏昌氏だ。

 大谷は今年のレギュラーシーズンで、左打者が苦手とすることが多い左投手に対しても打率.288(226打数65安打)、12本塁打をマーク(対右投手は打率.322、42本塁打)。対左投手の打率が.245だった昨季に比べ、格段の進歩を示した。それでも「シーズン中にも何度か、左投手に対してよくない内容になることがありました。それは、インコースのボール球のシンカーを振る時です。あれに手を出しているうちは、左投手は打てません」と新井氏は指摘する。

 実際、大谷はこの打席でカウント2-2から、真ん中高めのシンカーを振らされ三振。ボールが捕手のミットに収まってから振る“着払い”に近い格好だった。「外角へ逃げていくスライダーを意識していたところで、速い球への反応が遅れました」と新井氏は見た。

マナイアに3の0で2三振…対右腕との2打席は四球

 大谷とマナイアの対戦成績は、過去7打数2安打(対戦打率.286)、2四球2三振でノーアーチ。マナイアが今季途中から左肘の位置を下げて投げるようになり、なおさら左打者にとって打ちにくくなったと言われている。新井氏は「確かに今季の大谷は格段にレベルアップし、本人も左投手を苦にはしていないと思いますが、よくない時には、バッターボックスのライン辺りに来るボールがストライクに見えるようで、実際のストライクゾーンより15~20センチ内側を打ちにいきます。それだけ、ストライクゾーンの見え方をずらされるのです」と説明する。

 3回先頭の第2打席でマナイアに対し、外角高めの149キロのシンカーを見逃し3球三振に倒れたのも、「ストライクゾーンを内側へずらされている分、外角寄りの球がボール球に見えたのだと思います」。5回2死走者なしでの第3打席も、マナイアとの対戦で、今度は外角のスライダーをバットの先で引っ掛けるような形で一飛に終わった。「それまでの2打席で内角のシンカーを意識させられ、体が右翼方向を向かされていました。その分、外角のスライダーにしっかりバットが届いていませんでした」と新井氏は言う。

 7回1死走者なしでの第4打席では右腕フィル・メイトン投手、9回無死二塁での最終第5打席ではメッツの守護神エドウィン・ディアス投手から、それぞれ四球を選んだが、チームの得点にはつながらなかった。

 進境著しい大谷にも、苦手なタイプの投手は存在する。それでも、なんとか対応し、あるいは他の投手から打ちまくったからこそ、今季は本塁打・打点2冠、打率.310の数字が残った。今度はメッツ投手陣へやり返す番だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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