CS初戦落とすも…揺るがぬ巨人の優位 牧を「潰しにきたのかな」と語る理由…専門家分析

DeNA戦の指揮を執った巨人・阿部慎之助監督(中央)【写真:小林靖】
DeNA戦の指揮を執った巨人・阿部慎之助監督(中央)【写真:小林靖】

シーズン中に打ち込んでいたDeNA先発ケイに6回1安打無得点

■DeNA 2ー0 巨人(16日・東京ドーム)

 セ・リーグ優勝チームの巨人は16日、本拠地・東京ドームでDeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦に0-2で敗れ、アドバンテージを含めて1勝1敗となった。現役時代にヤクルト、横浜(現DeNA)など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、日本シリーズ進出が懸かる今後の展開を予想する。

「この日の巨人打線には“固さ”を感じました。レギュラーシーズン終了後に本格的な実戦から離れていたブランクによるものなのか、それとも負けられない気持ちが空回りしたのかはわかりませんが、レギュラーシーズン終盤に熾烈な優勝争いをしていた時の姿ではなかったですね」

 DeNA先発の左腕アンソニー・ケイ投手を、巨人はレギュラーシーズン中には、8試合で5勝1敗、対戦防御率4.64とよく打っていた。9月26日の横浜スタジアムでの対戦では、わずか1回2/3で、6失点KOしている。ところが、この日は6回で4四球を得ながら、1安打無得点に終わった。

「巨人は優勝してファイナルステージの舞台に上がっているだけに、絶対に負けてはいけないというプレッシャーがあったのではないか」と野口氏は推察。「ケイの制球がほどよく荒れていたことも、とらえ切れなかった理由の1つだと思いますが、シーズン中にしっかりとらえられていたボールに対しても、固さからバットが出てきていないように、僕には見えました」と指摘する。3年ぶりにCS進出を果たした巨人に対し、DeNAは3年連続進出で、しかもファーストステージを勝ち抜いてきた。独特の緊張感が巨人打線の実力発揮を阻んだ可能性もある。

 また巨人打線では、今季全143試合に出場し、シーズン終盤に3番に定着していた吉川尚輝内野手が、左脇腹付近を負傷しCSに出場できない見込みだ。この日の第1戦では、ケイを対戦打率.429(7打数3安打)と得意にしていたオコエ瑠偉外野手が「3番・中堅」でスタメン出場するも、4打数無安打2三振に終わった。

「3番は日替わりになるでしょう」坂本、門脇らが候補

 野口氏は「3番は今後、日替わりになるでしょう。ここ一番のベテランの力に頼るなら坂本(勇人内野手)、あるいは第1戦で2安打した門脇(誠内野手)でもおかしくない。門脇を1番に置き、3番に丸(佳浩外野手)を回すことも考えられますが、おそらく巨人としては1番打者として抜群の出塁率を誇った丸を動かしたくないと思います」と分析する。今年のレギュラーシーズンで巨人の3番は、吉川が最多の56試合で務め、左手首骨折で離脱中のエリエ・ヘルナンデス外野手が41試合でこれに次ぐ。坂本は10試合。門脇も4月9日のヤクルト戦から9試合連続で務めた経験がある。

 さらに野口氏の“捕手目線”によると、巨人バッテリーは第2戦以降に向けて布石を打っていた。「阪神とのファーストステージで打ちまくった(2試合で8打数5安打)牧(秀悟内野手)を、徹底した内角攻めで4打数無安打に封じたことです」。短期決戦では、初戦で相手の主力打者を徹底マークし、極端な配球で調子を崩すことが有効な必勝法と言われている。「巨人バッテリーは牧を潰しにきたのかな、という印象を受けました」。これが第2戦以降にどう効いてくるか……。

 1勝1敗のタイになったとはいえ、「先発投手陣の顔ぶれを見れば、巨人の方が依然有利だと思います」と野口氏は言う。DeNAは巨人に比べると、もともと先発投手が手薄な上、ファーストステージ第1戦に先発したエース・東克樹投手が、左足を痛めて出場選手登録を抹消された。対照的に巨人の先発投手陣は、戸郷翔征投手で第1戦を落としたものの、今季最多勝の菅野智之投手、フォスター・グリフィン投手、井上温大投手、山崎伊織投手らが万全の状態で控えている。優位はまだ揺らいでいない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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