3連敗の巨人に欠けていた“姿勢” 崖っぷちから逆転は…専門家が指摘するDeNAとの差
3連敗の巨人に巻き返しの可能性はあるか…野口寿浩氏が解説
■DeNA 2ー1 巨人(18日・東京ドーム)
セ・リーグ覇者の巨人は18日、本拠地・東京ドームで行われたDeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第3戦に1-2で敗れ3連敗。アドバンテージを含めて1勝3敗となり、あと1敗すれば敗退となる崖っぷちに追い込まれた。現役時代にヤクルト、横浜(現DeNA)など4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、巻き返しの可能性を探った。
3試合でわずか2得点。3連敗の要因が打線の不振にあることは間違いない。しかし、野口氏は「火がついてきた選手はいます。4番の岡本(和真内野手)にホームランが出ましたし、丸(佳浩外野手)もそう。打線復調の兆しは見えています」と指摘する。
巨人はレギュラーシーズンで主に「3番・二塁」で活躍した吉川尚輝内野手を故障で欠いており、代役をどう割り振るかが大問題。この日は、これまで1番を務めてきた丸を3番に置き、1番には今季CS初スタメンのベテラン・長野久義外野手を当てた。丸は4打数2安打と気を吐いた。
2回には岡本和が先制ソロ。3回にも2番・オコエ瑠偉外野手と丸の連打で1死二、三塁のチャンスをつくった。岡本和は申告敬遠で満塁とし、続く大城卓三捕手がヒット性の痛烈なゴロを放つも、相手二塁手・牧秀悟内野手のダイビングキャッチに阻まれ、併殺打となって追加点を奪えなかった。
巨人は1点ビハインドの8回にも、長野の左前打をきっかけに1死二塁の好機を迎えたが、岡本和が再び申告敬遠で歩かされ、得点できなかった。野口氏は「岡本和に仕事をさせる態勢はできつつある。あとはそれが実を結ぶかどうか。ただ、第4戦のDeNA先発の(アンドレ・)ジャクソン(投手)は、阪神とのファーストステージ第1戦で好投した(5回2/3を1失点)。あの状態で投げられるのであれば、一筋縄ではいきません」と巻き返しへのポイントを挙げた。
「泥臭く1点を取り、1点を守る姿勢が必要」
長丁場のレギュラーシーズンを制した巨人だが、「もう完全に尻に火がつきました。きれいな野球はもういらない。泥臭く1点を取り、1点を守る姿勢が必要だと思います」と野口氏は強調。そういう意味で、気になるプレーがあったと言う。
「吉川の代役として二塁を守っている中山(礼都内野手)は、2回2死走者なしでの守備で、戸柱(恭孝捕手)が際どく一、二塁間を破った右前打に対し、ダイビングはしなかった。前日(17日)の第2戦の5回に、森(敬斗内野手)に二遊間を破られ先制点を許した際も同様でした」と野口氏は指摘する。
「ダイビングしたからといって、捕れたとは限らないし、アウトにできたとも限りません。それでも、飛びついても捕れなかったのなら、誰もが納得する。援護点が少ない中で力投している味方投手へ向けて、そういう姿勢を見せることも大事ではないでしょうか」と語る。
一方のDeNAはこの日、桑原将志外野手が6回の攻撃で二盗に失敗した直後、悔しさ余って、ベンチを殴りつけるシーンがあった。「怪我をする危険がありますし、ああいう態度は決してほめられることではありません。しかし、こういう大事な試合で、本当に悔しいという気持ちが自然に出てしまったのだと思います。今のところ、絶対に勝ってやろうという気持ちが素直に、前面に表れているのはDeNAの方だと言えるのではないでしょうか」
巨人は過去に、今季と同様にレギュラーシーズンで優勝した2014年、CSファイナルステージで阪神に4連敗を喫し、日本シリーズに進めなかったことがある。一方、最後に日本一となった2012年には、ファイナルステージ第1戦から中日に3連敗を喫して追い込まれながら、3連勝して勝ち抜いた。その両方を「4番・捕手」として経験したのが、阿部慎之助監督である。果たして、今年の巨人に“明日”は来るのか──。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)