鷹先発陣はなぜ改善された? 3.63→2.50に劇的変化…背景にある昨年との鮮明な違い
鷹先発陣の直球割合は昨年が45%→37%に減少した
ソフトバンクは今季、91勝49敗3分けの勝率.650で4年ぶりリーグ優勝を果たした。高い得点力を誇る野手陣だけでなく、今季はリーグトップのチーム防御率をマークした投手陣の躍進も光った。データで注目したいのが、先発陣の配球の変化だ。
先発全体のストレート投球割合を見てみると、2022、2023年はいずれも約45%。しかし今年はリーグで2番目に低い36.9%に減少した。これまでの直球主体の投球スタイルから明らかな変化が見られた。
投手別のデータを見てもその変化は顕著だった。今季から先発へ役割変更したリバン・モイネロ投手、大津亮介投手だけでなく、14勝で最多勝に輝いた有原航平投手、最速160キロを誇るカーター・スチュワート・ジュニア投手らもストレートの割合が大きく減少。チームとして意図的に取り組んでいるのが分かる。
どんな球種の割合が増えているのか。先発投手全体の球種別投球割合を見ると、シンカーとカットボールを除きほとんどの変化球の割合が上昇。中でもチェンジアップは昨季の4.4%から今季は10.9%まで割合を増やすなど、ウイニングショットとしても使われる球種の増加が目立っていた。
先発とは対照的な救援陣…直球の割合は55.8%、平均球速はリーグ1位
先発5人が前年から最も投球割合を増やした球種を見てみると、どの投手もチェンジアップ、フォークといった沈む軌道の変化球が最も増加。5投手いずれも打者を追い込んだ後だけでなく、今季は0、1ストライク時の投球割合も前年から増えた。
2023年は防御率リーグ5位の3.63と苦しんだ先発陣だが、今季はリーグトップの2.50と大幅に改善。チーム成績も奪三振の割合が増え、与四球割合、被本塁打率が低下していた。ストレートの割合を減らし、より優秀な変化球を増やす改革は先発陣の飛躍につながったといえるだろう。
次にリリーフ陣の成績を見る。ソフトバンクの救援投手はリーグ内でもストレートの割合が多い傾向にある中、今季はその数値が55.8%まで上昇。先発陣とは反対に、リリーフ陣は例年以上に直球での勝負が増えていた。
杉山一樹投手やダーウィンゾン・ヘルナンデス投手ら力強い直球を投じる投手が多いリリーフ陣は、2年続けてストレートの平均球速がリーグ1位。被打率、奪空振り率でも常にリーグトップクラスの数値を残している。圧倒的な威力を誇るストレートを武器にリーグ1位の救援防御率2.58を記録するなど、今季も盤石なブルペン陣を形成した。
ストレートの割合を増やすか、減らすかという結論こそ違いが見られたが、質の高い球種の割合を増やすというシンプルな考え方は先発陣、リリーフ陣で共通しているといえるだろう。今季はモイネロ、大津を先発で起用し、その穴を埋めるようにリリーフでは杉山や尾形崇斗投手らが台頭した。来季も強固な投手陣を崩すのは容易ではなさそうだ。
(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)