初めて知ったMLBの“ギャップ” 小田裕也コーチが受けた衝撃「トップの人たちでも」
現役引退した小田裕也コーチ「鉄壁と言われるような選手が育ってほしい」
目指す道が明確になった。今季限りで現役を引退したオリックス・小田裕也育成コーチが、初めて視察したメジャーリーグで守備の大切さを改めて学んだ。
「守備に関しては、基本練習をちゃんとやっているんだな、ということが印象的でした。日本に伝わるメジャーは打つとか走るとか華やかな部分が中心で、それ以外はなかなかピックアップがされないので、そういう部分は若い選手に伝えていかないといけないと思いましたね」。球団施設の大阪・舞洲で指導者としてスタートを切ったばかりの小田コーチが、感慨深げに振り返った。
視察したのは、10月中旬のドジャースタジアムで行われたリーグ優勝決定シリーズ第6戦。今季で現役引退したT-岡田と安達了一(1軍内野守備走塁コーチ)と3人で訪れ、語学留学中にメジャー取材も行っている球団OBの鈴木優さんの案内で施設を見学したほか、練習中に元チームメートの山本由伸投手とも旧交を温めた。
小田コーチの関心は、メジャーの守備練習にあった。「基本的にバッティングは室内でやっていることが多いようで、試合前の練習に出てくる選手は多くなかったのですが、守備に関しては個別に基本的なことをやっていたり、ノックも早出でしっかりと受けていたりしましたね。メジャーリーガーでも、と言ったらおかしいのですが、トップの人たちでもやっぱりやることはやっているんです」。
憧れの世界最高峰だが、実際に目にするのは初めて。現役時代は外野守備のスペシャリストとしてチームメートから、守備位置や1歩目のスタートなどの打球判断の助言を求められることが多かった小田コーチ。自らも基本に忠実に練習をこなし研鑽を積んできただけに、基本をおろそかにしないメジャーリーガーの姿に、意を強くした。
オリックスはかつて、イチロー外野手や田口壮外野手、本西厚博外野手による“鉄壁の外野陣”を誇った。「僕が入団した時も、糸井嘉男さん、坂口(智隆)さん、(後藤)駿太と、他球団に比べて遜色ないほど外野のレベルは高く、メンバーが揃っていました。当時に負けないように、他チームからも“鉄壁”と言われるような選手が育ってほしい。打つのも大事ですが、守備の力って日本では特に大事ですから。もっと当たり前のプレーのレベルを上げてほしいですね」。惜しまれながら引退した35歳の新任コーチが、外野守備から常勝チームへの基礎を作る。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)