“昭和の香り”漂う剛腕、最下位西武が渇望する大砲候補…プロOB捕手注目の新人5選手
野球評論家の野口寿浩氏が注目の新人5選手をピックアップ
2025年のNPBを彩るルーキーたちには、1年目から活躍しそうな即戦力型が多い。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「プロで数年経験を積んでいる選手を含めて、2025年シーズン注目の若手という意味でも、トップランクにくる新人がたくさんいます」と指摘。特に楽しみな5人の名前を挙げる。
野口氏が真っ先に言及するのは、DeNAドラフト2位の篠木健太郎投手(法大)だ。「私自身が千葉生まれなので、どうしても地元の高校生に目が行く。篠木は木更津総合高時代、千葉では世代断トツの投手でした」と述懐。「同じ木更津中央高から早大を経て楽天入りして活躍している早川(隆久投手)とはまたタイプが違い、篠木は力でねじ伏せる剛腕タイプです」と評する。
篠木は木更津総合高1年の夏から、早々と甲子園のマウンドに上がっていた。3年の春・夏の甲子園大会が新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった“悲劇の世代”だが、夏に行われた千葉の独自大会では、5試合に登板し3完投2完封の活躍で優勝の原動力となった。甲子園大会が開催されていれば、全国区のスターになっていたかもしれない。
最速157キロを誇る右腕で、法大では通算14勝。近年では珍しくワインドアップから左足を高々と上げる豪快なフォームで、どこか“昭和の香り”を漂わせる。大学通算打率.256(78打数20安打)が示す通り、打撃も得意。さらに走っても50メートルのベストタイムは5秒86で、プロの野手にもなかなかいないレベルである。身体能力の高さは計り知れない。「ゆくゆくは大谷(翔平投手)、ダルビッシュ(有投手)レベルになるつもりでやってほしい」と大きな期待を寄せる。
ヤクルトが1位指名した最速160キロ右腕、中村優斗投手(愛工大)も1年目から活躍が期待される。2024年3月の「日本vs欧州代表」では大学生ながら侍ジャパンのトップチームに選出され、157キロのストレートを披露し、1イニングで1奪三振を含め3者凡退に抑えた。野口氏は「夢が膨らむ投手です。怪我だけはしないでほしい」と古巣が獲得した大器を思いやる。
4球団競合の中日1位・金丸は完成度が高い「いい防御率を残すのでは」
ドラフトで4球団競合の末に中日が1位指名した最速154キロ左腕・金丸夢斗投手(関大)も、1年目から先発ローテの一角を担う力を持っている。前出の「日本vs欧州代表」では、こちらも大学生ながら先発し2回4奪三振パーフェクトの快投を演じた。「完成度が高い。勝ち負けは打線との兼ね合い次第なので予想できませんが、怪我さえしなければ、かなりいい防御率を残すのではないか」。
野手で「名前を挙げないわけにはいかない」と言うのが、最多の5球団から1位入札され、抽選の結果楽天入りした宗山塁内野手(明大)だ。20年に1人の逸材ともいわれ、既にプロレベルの遊撃守備に加え、俊足好打、おまけにイケメン。野口氏も「守備は間違いない。スター性があって、夢を見させてくれそうな選手です」と太鼓判を押す。
チーム事情にピタリ当てはまりそうなのが、西武2位の渡部聖弥外野手(大商大)。同姓の渡部健人内野手から背番号「8」を譲り受ける形になった。野口氏は「長打力はピカイチ。2025年もそうですが、2、3年目へ向けて楽しみが広がるタイプ。近い将来、主軸を担えそうな選手です」と目を細める。
西武は近年のFAで、浅村栄斗内野手(楽天)、森友哉捕手(オリックス)、山川穂高内野手(ソフトバンク)らが次々と抜けた。源田壮亮内野手や外崎修汰内野手のように、いぶし銀の脇役タイプはいるが、主軸を担えそうな野手が極めて少ない。そういう意味で、渡部聖はうってつけと言えるかもしれない。
楽しみなのは新人王争いだけではない。一気にスターダムにのし上がる可能性を秘めた素材がめじろ押しだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)