MLB挑戦なら…岡本和真は「モデルチェンジ必要」 専門家が指摘、日本人が成功するカギ

巨人・岡本和真【写真:小林靖】
巨人・岡本和真【写真:小林靖】

野球評論家・佐藤義則氏が見解…巨人主砲が将来MLBで活躍するための課題

 巨人・岡本和真内野手は今年も主砲として活躍しそうだが、契約更改の際に「目標にしている場所」と語るなど、シーズン終了後にポスティングシステムでのメジャー移籍の可能性も取り沙汰されている。ただ、「岡本がメジャーで活躍するには、モデルチェンジが必要」との声もある。野球評論家・佐藤義則氏は、MLBで活躍できる日本人打者には、ある共通点があると指摘する。

 かつて投手コーチとして、日本ハム時代にダルビッシュ有投手(現パドレス)、楽天時代に田中将大投手(現巨人)らを育てた佐藤氏は、メジャーリーグにも造詣が深い。“投手目線”で現役日本人野手について、ドジャース・大谷翔平投手はもちろん、カブス・鈴木誠也外野手、レッドソックス・吉田正尚外野手の対応力を高く評価する。

 鈴木はメジャー3年目の昨年、132試合に出場し、ナ・リーグ9位の打率.283、21本塁打73打点をマークした。2年目の吉田は負傷者リスト入りするなどして108試合出場にとどまり、打率.280、10本塁打56打点と数字を下げ、10月には右肩関節唇の修復手術を受けた。それでも佐藤氏は、体調が万全なら今年成績をアップさせる可能性が高いと見ている。

「メジャーで活躍する打者の共通点は、“コンパクトに強く振れる”ことだと思います。鈴木がそうですし、一見振りが大きいように見える吉田も、バックスイングはすごく小さくて、フォロースルーをしっかり大きく取っています。大谷もアッパースイングに見えますが、ボールにミートするまでは、バットを上からコンパクトに出しています」と佐藤氏は指摘。「だからこそ、常時150キロ以上が普通のメジャーの投手に対しても、それほど振り遅れずに対応できるのだと思います」と説明する。

 一方で、「同じ日本を代表する強打者でも、筒香(嘉智外野手=DeNA)がアメリカで苦戦したのは、スイングの大きいタイプだったからだと思います。岡本も少し後ろ(バックスイング)が大きいので、形を変えていかないと、速い球に対応できないのではないでしょうか」と私見を披露した。

山本由伸は「15勝以上の可能性」、ダルビッシュには親心も

 筒香は2016年の本塁打、打点2冠などの実績を引っ提げ、2020年からメジャーに挑戦したが、4年間で182試合、18本塁打75打点と結果を残せず、昨年4月にDeNAへ復帰している。

 岡本はというと、2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では打率.333(18打数6安打)、2本塁打7打点。決勝の米国戦では「6番・一塁」でスタメン出場し、4回にマーリンズの本拠地ローンデポ・パークの左中間へ貴重なソロアーチを描いて優勝に貢献している。メジャーリーグでも持ち前の打棒を発揮できるのかどうか、早計ではあるけれど気になるところだ。

 また、佐藤氏は日本人投手の中では、「ドジャースの山本由伸が一番楽しみ。昨年は故障で戦列を離れた時期がありましたが、今年メジャーでのシーズンの過ごし方に慣れ、最後までローテーションを守ることができれば、15勝以上する可能性があると思います」と、昨年の18試合7勝2敗、防御率3.00からの飛躍を見込む。一方、教え子のダルビッシュについては、38歳の年齢もあって「1年でも長く投げてほしい、という思いに尽きます」と親心をのぞかせた。

 右肘の手術を経て2年ぶりに投手復帰する大谷の成績を、現時点で予想するのは難しいが、「メジャー移籍当初の大谷は、“困ったらスライダー”というわかりやすい投球スタイルで、それを見逃されて四球が増えるケースが目立ちましたが、一昨年の手術直前にはフォーク(スプリット)の精度が上がり、配球の引き出しが増えていました。右打者の横っ腹からアウトコースに逃げていくような、曲がりの大きい“スイーパー”の威力を含め、手術前の状態からスタートできるのであれば非常に楽しみです」と語る。

 日本人メジャーリーガーたちの奮闘はもちろんだが、メジャー移籍の希望を抱きながらNPBでプレーする選手たちに、どんな進化や変化が現れるのかにも注目したい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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