高橋宏斗を「超えるポテンシャルある」 1軍未登板も…コーチ絶賛、“覚醒目前”の19歳

春季キャンプで投げ込む中日・福田幸之助【写真:木村竜也】
春季キャンプで投げ込む中日・福田幸之助【写真:木村竜也】

2023年ドラ4の中日・福田幸之介、田島2軍投手コーチは「期待しかない」

 中日の投手陣は、若手の台頭が著しい。2月から始まった沖縄での春季キャンプでも、次なる逸材たちのアピールが目立つ。高卒2年目を迎えた19歳の福田幸之介投手もそのひとり。首脳陣は、左腕の成長に目を細めている。

 ブルペンに激しいミットの音が鳴り響く。2軍キャンプを行うオキハム読谷平和の森球場(沖縄・読谷村)で7日、福田は腕を振った。まだまだ居座る冬の空気を吹き飛ばすように、1球ごとに声を荒げ、自分自身を褒めたり叱ったりしながら、表情豊かに106球を投げ込んだ。

「口に出して投げた方が気持ちが昂るので、高校時代からずっとやっています。気持ちは強い方ですし、負けたくないという気持ちを全面に出した方が、井上(一樹)監督も好きだと思うので、アピールしていきたいです」

 身長182センチ、体重86キロの恵まれた体躯。魅力は真っ直ぐ。プルペン投球の際、打者役で右打席に立った中野栄一ブルペン捕手は、内角をえぐる直球に思わずのけぞり「勝手に腰がひけるわ」と苦笑い。生きのよさに「すごい球ですよ。直球はチーム全体でも上位クラスですよ」と頷く。

 2023年のドラフト4位で、大阪・履正社高から入団。2024年はルーキーイヤーは2軍で10試合に登板し、防御率は3.13。「1年間投げきれませんでした。だから今季は投げ切りたい。目標は1軍で7勝です。高橋宏斗さんが2年目で6勝だったので、超えたいと思っています」。言葉に迷いはない。エースに成長した右腕の背中を追う。

 首脳陣にとっても、若手の突き上げは大歓迎。田島慎二2軍投手コーチは「キャンプではずっといい球を投げていて、今は期待しかないです。(高橋)宏斗の2年目を超えるポテンシャルはあると思っています」とみる。

 昨季は2軍も担当していた山井大介1軍投手コーチも「気合いと根性と直球。この3つはいいものを持っています」と言い切る。気合いと根性といっても、前時代的なスポ根を求めているのではない。高卒2年目でも先輩たちを押し退けて食ってやろうという気概と、苦しい時にそれでももう一歩進もうとする執念。入れ替わりの激しいプロで生きていくための素養を兼ね備えていると評価する。

 確かに近づいている覚醒の足音。宏斗超えを実現させるためにも、まずは足元の土台づくり。声を荒げ、球をミットに突き刺し、1軍舞台まで突っ走っていく。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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