九里亜蓮、新天地でも続ける成長 ベテラン&若手に“貪欲質問”…「レベルアップしたい」
![春季キャンプで投げ込むオリックス・九里亜蓮【写真:北野正樹】](https://full-count.jp/wp-content/uploads/2025/02/12114755/20250212_kuri_kma.jpg)
広島からオリックスに移籍した九里亜蓮…今季目標は「200イニング」
飽くなき探求心がある。オリックスに海外FA権を行使して広島から移籍した九里亜蓮投手が、2月のキャンプイン早々から若手やベテランに変化球の握りなどを質問し、さらに自分を磨いている。
「まだまだ、自分自身では野球がヘタクソだと思っています。もっとレベルアップしたいという気持ちで毎日を過ごしています。1日たりとも無駄にせずやっていきたいと思います」。プロ12年目、最多勝を獲得したこともある33歳の右腕が、新人のように声を弾ませた。
九里は鳥取県出身。岡山理大付、亜細亜大から2013年ドラフト2位で広島に入団。広島時代の2021年には13勝(9敗)で最多勝に輝き、2023年の174回1/3を含め、2017年から8年連続115イニング以上に登板してきた。
今季の目標は「200イニング」。分業制が定着している現在のプロ野球では、異例の投球回数だ。代打を送られ途中交代することが多かったセ・リーグとは違い、DH制のパ・リーグではイニング数が増えることが予想されるものの、掲げる数字は驚異的。達成すれば、パでは2014年の楽天・則本昂大(202回2/3)以来の“200超え”となる。
今春キャンプでは3度目のブルペン入りとなった第2クール2日目(6日)に背番号「22」にちなんで222球を投げ込んだが、球数の多さは1年を通してローテーションを守るためのルーティンであるとともに、200イニング達成のために必要不可欠だったようだ。
FA移籍も…競争意識「若手に負けず情熱を持ってやりたいですね」
ひたむきさは、投げ込みだけでない。他の投手に練習方法や変化球の握りを教わるなど、貪欲に取り組む。キャンプイン前日の合同自主トレでは、サブグラウンドでキャッチボールをしていた宮城大弥投手をそっと見守り、終わるのを待ち構えて話しかけた。
「良いボールを投げているなと思って。ジャパンに入って投げているピッチャーのキャッチボールから、何か盗めるところはないかなと思って見ていました。どんな意識でキャッチボールをしているのか、教わりました。聞いたことは1回やってみようかと思っています。別に(自分は)ものすごく速いボールを投げるピッチャーではありません。まだまだレベルが低く、もっとうまくなりたいと思っていますから、気になることがあれば、先輩や後輩に関係なく聞こうと思っています」
すでにベテランの平野佳寿投手にフォーク、山下舜平大投手にはカーブの握りと感覚を教えてもらっており、9日のブルペンでは自身の投球練習終了後に、山下の投げ込みを後方からじっくりと観察。足の使い方などに新たなヒントがあったそうだ。
「言葉でうまく言えるタイプではないのですが、投手から質問されたら技術的なことは全て答えるつもりです。(他の選手から)『切磋琢磨したい』と思われるピッチャーになれるよう、若手に負けず情熱を持ってやりたいですね」。若い好投手の多いオリックスでも、初心を忘れることなく輝く。
○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)
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