育成で.301の“逸材”が狙う早期昇格 唇を噛み締めた「前例はない」ケース

春季キャンプで練習するオリックス・河野聡太【写真:北野正樹】
春季キャンプで練習するオリックス・河野聡太【写真:北野正樹】

オリックス育成・河野聡太「小刻みに目標を設定していこう」

 悔しさをバネに、願いを叶える。オリックスの育成・河野聡太内野手が、プロ2年目の今季に「最速」での支配下選手登録を目指す。「(登録期限の)7月末までにという遠い目標ではなく、自分のモチベーションを高めるためにも、小刻みに目標を設定していこうと考えています」。河野が口元を結んで前を見据えた。

 河野は福岡県出身。九産大九産高、西日本工大、四国IL・愛媛マンダリンパイレーツから2023年育成ドラフト5位でオリックスに入団した。プロ1年目は2軍で64試合に出場し、打率.301、5盗塁。堅実な守備とボールに逆らわない巧打で、7月31日時点で打率.263の成績を残したが、1年目での支配下昇格は果たせなかった。

「もう、ギリギリまで期待していましたよ。でも、最後に上がったのが川瀬(堅斗投手)と聞いて、今年の優先順位は野手でなかったのならしょうがないかなと納得しました」

 失意の中で、気持ちの切り替えは早かった。「前例はないと思いますが、契約更改の時に支配下で契約してもらおう、とずっとそう思ってやってきました」。支配下選手が戦力外構想になり、育成選手で契約することはよくあるが、逆のケースは異例。河野はシーズン終了後の更改で、球団から支配下を告げてもらうだけの成績を残すことを自身に課し、3割超の打率を残した。

母が占ってくれた2025年の運勢は「幸せ過ぎて、笑いが止まらない年」

 契約更改で吉報は届かなかったが、「取り組む姿勢を評価してもらい、10万円アップしました」と笑顔で明かす。「最大限の準備をして結果がダメなら仕方がないですが、やることをやらずにダメだったら自分の中で、納得できないんです。次にもつながらないし、そこはすごく大事にしています。やらないと気持ちが悪いし、抜くところがないんです」。プロ入り前からスカウトに評価してもらうためにはどこを磨いてアピールすればいいかなど、常に目標を設定し準備をしてきた河野らしい。

 プロ入り直後から課題にした打撃は、ほぼクリアすることができた。「僕は本塁打か三振、という打者ではないので、三振を減らしてボールを転がすことを意識していました」と持ち味を生かして、シーズン直後のフェニックス・リーグでは打率.333とアピールすることができた。

 プロ2年目に挙げる課題は、守備力。「守っていてまだ怖さがありますし、全然ですね。どんな打球が来ても臨機応変に対応できるようになるためには、どんどん受けていくしかないと思っています。打撃を昨季は見せられたので、今年は守備で圧倒的な安定感を見せたい」。

 母が占ってくれた2025年の運勢は「幸せ過ぎて、笑いが止まらない年」だったという。「でも、占いを信じるというより、努力して近付いていくことが大事だと思います」と足元を見つめる。「俺が1番、支配下に近いという気持ちでやります。開幕前の昇格が第1目標です」。堅実なプレースタイルそのままに、ひたむきに取り組む。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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