村田コーチが期待する2人の逸材 14年ぶり復帰で感じたDeNAの“変化”「勝ちたい意欲」

村田修一野手コーチ「僕らのときも勝ちたいとは思っていましたけど…」
14年ぶりに袖を通したベイスターズブルーのユニホーム。村田修一野手コーチは懐かしい空気と新鮮な空気を噛みしめる。古巣に復帰し、率直に感じたことは「球団自体もそうだし、選手もそうだし、勝ちたいという意欲がすごく同じ方向をみんな向いているのは素晴らしいことだなと思います。僕らのときも勝ちたいとは思っていましたけど、なかなかそれがうまく噛み合わなかった」。昨季日本一に輝いたチームの勢いを実感する。
2002年ドラフト自由枠で横浜入りした村田コーチは、2011年までを過ごした。同年DeNA社が球団を買収して2012年からDeNAベイスターズに。「しっかりコミュニケーションを取って、どんな考えのもとで指導しているとか、そんな考えで球団や他部署が動いているかをみんな把握しながら現場を応援しているのはDeNAになってだいぶ変わったなと思います」と話す一方で、「打線が売りなのは変わっていないですよね。僕が入ったときからそうだし、伝統としてチームの強みだし、いいことじゃないかと思います」と笑った。
2月1日のキャンプ初日、驚いたのが打撃練習での選手の姿だった。明るく和気あいあいとしていたウオーミングアップから一転、「バット1本持って打とうってなったら個々に集中していた」。さらに若手の姿を見て「ああ、振れるね」と感心したという。1軍で戦うために熾烈なチーム内競争の真っ只中。「レギュラーを取りたい、1軍に残りたいっていうのはひしひしと感じるかな」と目を細めた。
「みんないいですよね」という中でも、特に才能を感じた2人の若手選手がいる。まずはドラフト3位の加藤響内野手(四国IL徳島)だ。「真っすぐに合わせていても浮いた変化球とかをそのままバッと振れちゃうので、そのへんはいいところかな」と評価。11日の中日戦、12日の中日2軍戦で計9打数6安打と結果で示す22歳に「いいスタートを切れている。どんどんいい経験をしていってほしい」と願った。
さらに「井上もいるしね」とも。井上絢登内野手は豪快なスイングが魅力で、11日には“チーム1号”を放った。四国IL徳島から入団1年目だった昨季は25試合で打率.190、0本塁打、4打点と“プロの壁”にぶち当たったが、2軍では70試合で8発を放っている。「真っすぐを投げたら許さないよ、くらいの感じで振っていく姿勢はすごくハートが強い選手なんだろうなというのは感じますね」と村田コーチも期待を寄せている。
何よりも求めるのは、チーム内競争の激化だ。内野は激戦区でもあるが、正三塁手の宮崎敏郎内野手は36歳とベテランということもあり「『宮崎さんゆっくりしておいていいですよ』というくらいの選手たちになってほしいですよね。うかうかしてらんねえな、ってなってくれないと困ります。野手コーチとして、育成も見据えてやっていきたいと思います」と誓う。指導者としては巨人、ロッテに続き3球団目。帰ってきた“男・村田”が再びベイスターズのために力を尽くす。
(町田利衣 / Rie Machida)
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