田嶋大樹が“変更”したスタイル 挑戦の裏にあった覚悟「衰退していく方が怖い」

オリックス・田嶋大樹【写真:北野正樹】
オリックス・田嶋大樹【写真:北野正樹】

オリックス・田嶋大樹…今オフは「新しい発見しかなかったですね」

 ユニホームはクラシックでも、中身は新しい。オリックス・田嶋大樹投手が、社会人時代以来となる8年ぶりにストッキングを見せるクラシック(オールド)スタイルに変えた。投球フォームを両腕から始動するように変えたことが、ユニホームの着こなし変更にもつながっているという。

「僕の体型に合う新しいフォームでは、上半身がブカブカで下半身がパシッとしているのが良いそうで、試してみると(ストッキングを出さない)ロンパン(ロングパンツ)は動きにくく感じたんです。社会人時代に戻った感じですね」。田嶋が種明かしをしてくれた。

 田嶋は、1月中旬から4日間、アスリートコンサルタントの鴻江寿治さんが主宰する「鴻江キャンプ」に初めて参加。鴻江さんの理論では、体型などから「うで体」と「あし体」の2つのタイプがあり、田嶋は上半身でタイミングを取って始動するのが良いとされる「うで体」だったという。

 両腕を体に巻き付けるように前後に揺さぶり、肩の高さまで引き上げてから右足を上げて投げ込む「腕始動」の新たなフォーム。巨人時代の菅野智之投手(オリオールズ)が2020年に14勝(2敗)を挙げ、最多勝に輝いた時のフォームを彷彿とさせるものだ。

「新しい発見しかなかったですね。腕始動(のタイプ)だったとは知りませんでした。去年までなら足始動の投げ方をしていたから指にかからなくて、ちょっと失敗していたんです。右腕がしっかりと使えるようになって、抜ける球も減ってはきています」

 暗中模索の状態から、明るい光が差し込んできた。「まっさらな白紙の状態です。もう1段進むのに、何をすればいいのだろうというところにいて、考え中です。成長するための、そのプロセスがわからないんです。何をしたらそうなれるんだろう、というところにいます」とは、昨シーズン終了後の田嶋の言葉だが、新たな方向性を見出した今、表情は格段に明るい。

「逆の体の使い方をして、よく昨季に6勝もできたと思います。逆にすごいことだなと。現状維持で衰退していく方が怖いんで、今年は怖さより楽しみしかありません」。自分と向き合い、自分を高める田嶋の姿がそこにある。

○北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者1期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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