世界に“バレる”逸材24歳たちの約束 侍Jに初選出…辿り着いた「目指していた場所」

オリックス・曽谷龍平(左)と太田椋【写真:北野正樹】
オリックス・曽谷龍平(左)と太田椋【写真:北野正樹】

オリックス・曽谷龍平が誓う、太田椋との“小さな約束”

“小さな約束”は、やがて大きな夢へと繋がる。オリックス・曽谷龍平投手と太田椋内野手は、日本野球機構とNPBエンタープライズが14日に発表した野球日本代表「侍ジャパン」とオランダとの強化試合「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本vsオランダ」の出場選手28人の中に名前を連ねた。プロ入り後、初の日本代表に「目指していた場所でもありますので『よっしゃ! やってやるぞ』という思いです」と胸中を明かした。

 10日ほど前。宮崎春季キャンプの第1クール中に曽谷と太田は“ある約束”を交わしていた。「今年は『そたまる』でも頑張っていこうな」。サラダを取り分け終え、テーブルに並んだ地鶏から、焦点を移してお互いに合わせた。にこりと目を細めると、火照った頬をさらに赤らめる。グラスの中で尖っていた氷が丸みを帯びても、それ以上の言葉は2人には必要なかった。

 曽谷は2022年ドラフト1位でオリックスに入団。プロ2年目の昨季は20試合に先発登板し7勝11敗、防御率2.34と結果を残した。打線の援護がない時でもあまり深く考えないように心掛け、同学年の太田を見つけると「頼むぞー!」と声を掛けるくらいだった。

 白鴎大4年では「ハーレムベースボールウィーク」の日本代表に選出され、侍ジャパンのユニホームに袖を通したこともあるが「プロに入って、日本代表でプレーすることは1つの目標ですから。実現できたらいいですね。たくさんの人に自分の投球を見てもらえる機会なので。叶えられるように頑張ります」と日の丸への気持ちを強く持っていた。

 プロ3年目を迎える今季は、先発の軸として期待されている。宮崎春季キャンプ中には「今もやるべきことがたくさんあります。もちろん(集中して)入り込まないといけないとは思っているんですけど、何をすれば良いのかが昨年よりは明確になってきています。良い意味で余裕を持って進めていますね」と言葉を紡いだ。

「昨年1年間、先発ローテーションを回れたのは自信になりました。(アクシデントで右手を)怪我してしまっても試合に出続けられた精神がポイントでした。今のテーマは『バランスよく』。真っすぐの質も求めて、良いスタートを切って夏場に向けても状態を整えていきたいです」

 真剣な表情で話し終えると、キリッとした眉を柔らかくした。第1クールを終え、キャンプ初の休養日となった5日は「同期会」を開催。2000年生まれの“ミレニアム世代”が膝を突き合わせた。「予約は僕がしましたよ。太田から指名されて(笑)」。みんなの喜ぶ顔が見たくて、率先して動いた。

「(太田に)何個かお店の候補を出してもらって、僕が電話をしました。(支払いは)支配下選手で割り勘です。あ、僕と太田が『少しだけ』多く出しましたね。少しだけですよ」。2人の“約束”は、時間をかけてじっくりと叶えていく。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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