バウアー加入で生まれた「異例中の異例」 球団OBも目を見張るDeNAの“衝撃布陣”

DeNAのアンソニー・ケイ、トレバー・バウアー、アンドレ・ジャクソン(左から)【写真:小林靖、荒川祐史、矢口亨】
DeNAのアンソニー・ケイ、トレバー・バウアー、アンドレ・ジャクソン(左から)【写真:小林靖、荒川祐史、矢口亨】

コロナ禍で外国人の出場選手枠が4人→5人に拡大され今年も継続

 昨年はレギュラーシーズン3位から26年ぶりの日本シリーズ制覇を果たしたDeNA。今年は27年ぶりのリーグ優勝に照準を合わせているが、1月にトレバー・バウアー投手の2年ぶり復帰が決まり、ますます意気が上がっている。コロナ禍以降、1軍の外国人枠が4人から5人に増えていることも大きな後押しになりそうだ。現役時代に日本ハム、横浜(現DeNA)など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析した。

 13日にDeNAの沖縄・宜野湾キャンプを視察した野口氏が、三浦大輔監督に「バウアーはいつ合流するのですか?」と声をかけると、指揮官は「わからないっす」と苦笑した。

 監督がわからないなら、チームにわかる人は誰もいないだろう。実際、バウアーの復帰は1月27日のファンイベントで発表されたが、合流時期は未定。宜野湾キャンプには参加せず、米国で独自に調整を進め、オープン戦期間中のしかるべき時期に来日する可能性が高いと見られている。

 それでも、バウアーがシーズン開幕から戦列に加われるなら、チームにとって非常に心強い。一昨年のバウアーは3月14日に入団が発表され、2軍での調整を経て、5月3日の広島戦(横浜スタジアム)に先発し1軍デビュー。7回1失点で来日初勝利を挙げた。最終的に19試合で10勝4敗、防御率2.76の好成績を残している。

 野口氏は「シーズン途中から10勝した投手ですから、今年開幕からフルに働いたら、どれだけ勝つのか、どれだけ貯金をつくってくれるのか、期待感が高まります。現場の選手、首脳陣はそこまで浮かれていないと思いますが、われわれ評論家が戦力分析する場合は、バウアー1人が加わることによってチーム力がアップすると見ます」と指摘する。

「打線に複数の外国人選手を入れてパワーアップを図るのが普通」

 現在DeNAの外国人選手には、昨年25試合に先発して規定投球回をクリアし、8勝7敗、防御率2.90をマークしたアンドレ・ジャクソン投手、24先発で6勝9敗、防御率3.42も、ポストシーズンの活躍が目覚ましかった左腕アンソニー・ケイ投手、中継ぎで43試合に登板し安定していたローワン・ウィック投手、そして打線の軸のタイラー・オースティン内野手がいる。

 今年は先発のバウアー、ジャクソン、ケイ、中継ぎのウィック、野手のオースティンの5人を常時出場選手登録するケースが増えそうだ。NPBでは新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、選手の負担軽減のため2020年から出場選手登録を29人→31人、ベンチ入りを25人→26人に増やし、外国人選手の出場登録も4人→5人(全員を投手、または野手でそろえることはできない。同時ベンチ入りは4人まで)となっており、今年も継続される。

 これがDeNAの現状にピタリと当てはまる。外国人の出場選手登録枠が従来の4人(全員を投手、または野手でそろえることは不可)であれば、先発3人・中継ぎ1人の計4人を同時に登録できなかった。となると、いったん抹消すれば10日間は再登録できないため、3人を中6日のローテーションで回すことは難しかったわけだ。しかし、5人に増えていることで、5人の外国人をフルに起用できる。

「(先発ローテのうち3人を外国人投手が占めるのは)異例中の異例でしょう。2人まではありましたが、3人は異例です」と野口氏。「日本人の強打者が多いDeNAだからこそできることかもしれません。普通は打線に複数の外国人選手を入れて、パワーアップを図ります。DeNAの場合は日本人だけでも強力な打線を組めますし、唯一の外国人野手であるオースティンの成績が安定しているので、外国人枠を投手に割くことができるのです」と解説する。

 野口氏の見立てでは、6人の先発ローテ枠のうち、開幕投手を務めることが決まっている東克樹投手、バウアー、ジャクソン、ケイまでは確定的。「残り2枠を、大貫(晋一投手)、リリーフから先発に転向する伊勢(大夢投手)、両石田(石田健大投手、石田裕太郎投手)、新人の2人(ドラフト1位・竹田祐投手、同2位・篠木健太郎投手)、3年目の吉野(光樹投手)、2021年ドラフト1位の小園(健太投手)らで激しく争うことになるでしょう」と指折り数える。戦力が充実し、近年稀に見る“チャンス到来”だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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