突然の広島移籍で生じた誤算 古巣との違いに戸惑い…“由伸2世”の現在地

日高が振り返る広島への移籍「思うようにいかなかった」
赤いユニホームで迎える2年目。広島・日高暖己(ひだか・あつみ)投手が宮崎・日南キャンプで鍛錬の日々を送っている。移籍1年目の昨季は1軍登板はなく、2軍生活が続いた。悔しい結果に「思うようにいかないことばかりのもどかしい1年でした」と振り返る。
昨季、オリックスにFA移籍した西川龍馬外野手の人的補償で広島に加入。オリックスでプロ1年目のシーズンを終えたばかりだっただけに、本人も「全く想像していませんでした」と驚きを隠せない突然の移籍だった。
ドジャースの山本由伸投手を彷彿させる投球フォームから“由伸2世”との呼び声も高かったが、1軍昇格はなく、2軍で14試合に登板し2勝5敗、防御率5.29。怪我の影響で思うようにプレーできない時期もあり、危機感だけが募っていった。
広島が日高獲得を発表したのは昨年の1月5日。本来ならじっくり自主トレを行うはずが、引っ越しの準備や入団会見などで、慌ただしく春季キャンプを迎えたことも誤算だった。オリックスと異なる練習にも戸惑いもあり、「自分の中で消化できないことが多く、正直、難しさのほうが大きかったです」と度重なる環境の変化に苦しんだ1年だった。
移籍2年目で掴みつつある手応え「昨年とは違う」
戸惑いを払拭できないまま過ごした広島1年目だったが収穫もあった。シーズン終盤は、真っすぐと変化球にまとまりが生まれ、2軍で先発として投げる試合も増えた。昨季限りで現役を引退し、今季から3軍投手コーチ兼アナリストに就任した野村祐輔コーチからは右手の“力加減”について助言を受け、今も実践している。
「自主トレで取り組んできたことが少しずつ形になり、自分の中では昨年とは違う手応えを感じています。これから実戦も増えてくるので、結果を残してアピールしていきたいと思います」と、ここまでの春季キャンプに手応えを感じている。
横山竜士2軍投手コーチも「昨年と比べたら良くなっている。真っすぐもいいものを持っているだけに、良いときと悪いときの調子のムラを少なくしていってほしい」と右腕が秘めた可能性に期待を寄せている。
オリックス時代を含めて、まだ1軍登板はないだけに、プロ3年目の今季は1軍デビューに期待がかかる。驚きと困惑の移籍から1年、もがき苦しんだ20歳右腕がどんな飛躍を見せてくれるか、楽しみに見守りたい。
(真田一平 / Ippei Sanada)
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