中日ドラ1は「日本のエースになれる」 リハビリ中も…専門家が唸った“才能”

中日・金丸夢斗【写真:栗木一考】
中日・金丸夢斗【写真:栗木一考】

関大時代に腰を痛めた影響で2軍読谷キャンプに参加中

 中日のドラフト1位ルーキー左腕・金丸夢斗投手(関大)が16日、1軍の沖縄・北谷キャンプに“一日体験参加”し、ブルペンで捕手を座らせ41球を投げ込んだ。大学時代に腰を痛めた影響で、2軍の読谷キャンプでスロー調整を命じられているが、“上”の雰囲気を肌で感じさせるため、この日に限って1軍に呼ばれ、井上一樹監督ら首脳陣の前で現状の姿を披露した。

 ファン、報道陣、評論家陣、他球団のスコアラーらも、一様に金丸へ熱い視線を注いでいた。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、捕手の後ろに立って金丸の球筋を目撃。「あくまでリハビリの一環として1軍に呼ばれただけと聞いていて、高を括っていたのですが、『本当にこれがリハビリ中の球か?』と驚かされました。やはり素材は一級品です」と興奮を隠せなかった。

 スプリット、カーブ、スライダー、チェンジアップと変化球も一通り投げた。「2軍の首脳陣からは『力を入れて投げてはダメ』と釘を刺されてきたはず。それを忠実に守っている様子で、力感は感じませんでしたが、それでいてボールの切れは素晴らしかった。逆に、リハビリを卒業したら、どんな球を投げるのか、どんなピッチングをするのか、凄く楽しみになりました」と野口氏は述懐した。

「本当に中日はいいピッチャーを獲りましたよ。“今年のルーキーでナンバーワンの投手”との評判に偽りなしです」と感嘆が止まらない野口氏。もっとも、昨年まで3年連続最下位に沈んでいる中日だが、こと投手陣に関しては強力で、今年も先発候補には、昨年最優秀防御率のタイトルを獲得した高橋宏斗投手を筆頭に、大野雄大投手、柳裕也投手、涌井秀章投手ら、実績のある顔ぶれがそろっている。「投手がいなくて困っているチームではないので、金丸は慌てる必要も、焦る必要もない。誰が見ても大丈夫、という状態になってから1軍に合流してほしいと思います」と切望する。

大学3年で侍ジャパンのトップチームに抜擢された最速154キロ左腕

「日本球界のエースになれる素材だと思います」とまで金丸を絶賛する野口氏は、「1軍合流は、ゴールデンウィーク明けだろうが、セ・パ交流戦明けだろうが、オールスター明けだろうが、全然構わないと思います。壊さないことが最高の得策でしょう」と力を込めた。

 そもそも、最速154キロ左腕として知られていた金丸は関大3年の昨年3月、侍ジャパンのトップチームに異例の抜擢を受け、「日本vs欧州代表」第2戦に先発すると、2回を無安打無四球4奪三振のパーフェクトに抑える快投を演じた。普通のルーキーとはスケールが違う。“完成型”のお披露目が楽しみでならない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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