中日・26歳大砲への“不安” 専門家指摘…注目の成長株、外国人補強も「比重が大きい」

中日・細川成也【写真:小池義弘】
中日・細川成也【写真:小池義弘】

わずかシーズン1安打→中日に移籍した途端に24本塁打→全試合出場で打率.291

“現役ドラフトの星”の真価を問われる。中日移籍3年目を迎える細川成也外野手は、今年も沖縄・北谷キャンプで順調な調整ぶりだ。恩師ともいえる前1軍打撃コーチの和田一浩氏が昨年限りで退団し“独り立ち”を求められる今年、貧打といわれる中日打線を牽引する活躍を期待されている。

 16日に行われたシート打撃では、大野雄大投手から左前にクリーンヒットを放つシーンがあった。3年前までとは別人のように、主軸打者としての風格が漂っている。

 2016年ドラフト5位で明秀学園日立高からDeNA入りし、パワーを評価されていたが、5年間は結果を残せなかった。DeNA最終年の2022年はわずか18試合出場で、打率.053(19打数1安打)、1本塁打、1打点。放ったヒットは甲子園の左翼席へ放ったソロ本塁打1本のみだった。

 ところが、同年オフに初めて導入された現役ドラフトで中日へ移籍し、野球人生が激変する。初年度の2023年に140試合出場、打率.253、24本塁打、78打点と変貌を遂げた。さらに昨年は全143試合に出場して打率を.292に上げ、23本塁打と67打点もチームでは断トツ。中日でこれに次ぐのは、オルランド・カリステ内野手の7本塁打、36打点に過ぎず、細川が気を吐いた格好だ。

 細川の大変身に欠かせなかったのが、前打撃コーチの和田氏との出会いだった。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「2年間付きっ切りで指導していましたし、細川の現在の打撃フォームは、ベンちゃん(和田氏)の現役時代によく似ていますよ」と指摘する。和田氏自身、現役時代には首位打者、最多安打、最高出塁率のタイトルを1度ずつ獲得し、通算2050安打で名球会入りを果たした強打者だった。

新外国人ボスラーも巧打披露、恐竜打線形成の鍵を握る

「細川はこの2年間、凄く頑張ったとはいえ、まだまだ若い選手(26歳)。いい時も悪い時も見てくれていた人がいなくいなって、どうなっていきますかね……」と野口氏は注目する。「2年間の指導で、細川も自分で修正できる能力が身についているとは思いますが、打撃のちょっとした狂いを指摘してくれる人がいるかどうかで、トータルの数字は変わってくると思います。新任の松中(信彦打撃統括)コーチがフォローしてくれてもいいし、あるいは、普段投げてもらっている打撃投手から『ここが少し、いつも違うんじゃない?』と指摘してもらうだけでも、かなり助かると思います」と語る。

 昨年まで3年連続最下位に沈み、井上一樹新監督が就任した中日だが、もともと投手陣は強力だった。野口氏は「あとは打ちさえすれば、点さえ取れればなんですよ……」と昨年もリーグワーストの373得点に終わった貧打を嘆く。

 そんな中、左打ちの新外国人ジェイソン・ボスラー外野手が前出のシート打撃で、涌井秀章投手、高橋宏斗投手からヒットを放った。特に高橋宏に対しては、カウント3-2から4球ファウルで粘った後、内角低めの変化球を、バットを折りながら右翼線に運ぶ“技あり”の打撃を見せた。野口氏は「本塁打を量産することはなさそうですが、打率は結構残しそう。5番に置けば機能するかもしれません」と評する。

 また、昨年規定打席には届かなかったものの打率.306をマークした福永裕基内野手がセカンド、村松開人内野手がショート、石川昂弥内野手がサードの定位置を固め、成長すれば、カリステを含め“恐竜打線”が爆誕することも、夢物語ではない。

 布陣が固まってきたとはいえ、野口氏は当面「細川にかかる比重が大きい」と語る。細川の躍進が、新生ドラゴンズの浮沈を握っている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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