阪神20歳左腕が激変した理由、元捕手OBが絶賛も…気になる“癖” 修正は「難しい作業」
![キャンプで練習する阪神・門別啓人【写真:栗木一考】](https://full-count.jp/wp-content/uploads/2025/02/17091517/20250217_monbetu_kri.jpg)
3年目・門別、昨年も岡田前監督から期待されるも5試合0勝2敗
新生藤川タイガースを象徴する若手成長株がいる。弱冠20歳の高卒3年目左腕・門別啓人投手だ。藤川球児監督就任後初の対外試合として今月16日に沖縄・バイトするならエントリー宜野座スタジアムで行われた、楽天との練習試合に先発。2回を無安打2奪三振無失点に封じた。現役時代に日本ハム、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、チャンスを生かしきれなかった昨年の門別との大きな違いを指摘する。
門別は楽天との練習試合で、初回1死から味方の三塁手のファンブルで出塁を許し、3番の辰己涼介外野手も四球で歩かせたが、後続を断ち、2回は3者凡退に抑えた。ネット裏で視察した野口氏は「立ち上がりは少しバタバタしました。エラーと記録された打球も痛烈な当たりでしたし、その後辰己に四球を与えたことも反省材料です」と評しつつ、「しかし、昨年に比べると明らかによくなりました」と断言する。
門別は昨年もこの時期の練習試合で好投し、岡田彰布前監督から大きな期待をかけられた。開幕1軍入りを果たし、リリーフで3試合経験を積んだ後、5月3日の巨人戦(東京ドーム)で先発のチャンスを得た。しかし結果は3回6失点(4自責点)KO。その後は故障にも見舞われ、唯一の1軍登板となった8月24日の広島戦(マツダ)の先発も、5回2失点で黒星。結局5試合0勝2敗、防御率4.50がプロ2年目の昨年の成績だった。
「もともと球威が魅力の投手ですが、昨年に比べてボールの強さ、コントロールともに向上しています」と野口氏。「要因は、もの凄いクロスステップで投げていたのが修正されたことだと思います。直そうとして直したのか、自然に直ったのかはわかりませんが、ほぼ真っすぐか、ちょっとクロスステップ程度に収まっています。そのお陰で体を縦に使えるようになり、腕も縦振りになって、ボールを上から叩けるようになりました」と指摘する。
フィリーズとマイナー契約の青柳が抜けた分を「みんなが狙っている」
投球フォームを“横振り”から“縦振り”に修正するのは、復活を期す巨人・田中将大投手も取り組んでいるテーマだ。野口氏は「投手はいろいろな理由で横振りのフォームになってしまうことがあるのですが、サイドスローでない限り、やはりオーバースローの投手は体を縦に使わないと、うまくいかないと思います」と解説する。
1軍の壁に跳ね返された昨年を経て成長を遂げた門別。だからといって、先発ローテ入りが即確定するほど阪神の投手陣は甘くない。昨年13勝3敗の才木浩人投手をはじめ、村上頌樹投手、大竹耕太郎投手、ジェレミー・ビーズリー投手、西勇輝投手、伊藤将司投手ら実績のある顔ぶれが並び、新外国人ジョン・デュプランティエ投手、ドラフト1位ルーキー・伊原陵人投手らもローテ入りを狙う。2軍キャンプで調整中の高橋遥人投手もいずれ戻ってくるはずだ。
野口氏は「ちょっとハードルは高いですが、それでもフィリーズとマイナー契約を結んだ青柳(晃洋投手)の分が空いたので、みんながそこを狙っている。門別はチャンスさえもらえたら、昨年より結果を出せそうです」と期待を寄せる。一方で「気がついたらクロスステップに戻っていた、などということがないように、試合の中で固めていくことが大切だと思います。癖を直しても、それを定着させるのは結構難しい作業ですよ」と釘を刺した。実績十分な阪神投手陣にフレッシュな新風を吹き込むか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
![](https://full-count.jp/wp-content/uploads/2024/06/18100149/20240618_dazn_480x160.jpg)