MLB4球団も注目…身長200cm逸材は「器用な投手」 速球だけではない18歳の“武器”

キャンプで練習を行う広島・菊地ハルン【写真:小林靖】
キャンプで練習を行う広島・菊地ハルン【写真:小林靖】

高校で球速が20キロアップ、急成長を遂げた菊地ハルン

 身長200センチ、体重110キロの恵まれた体格が何よりの魅力。広島2軍の春季キャンプが行われている日南・天福球場で、新人の菊地ハルン投手が一際の注目を集めている。MLB4球団から誘われた右腕は、将来の野望を胸に秘め、まだ荒削りな才能に磨きをかけている。

 千葉学芸高からドラフト5位で入団。120キロ台だった直球が140キロ台にアップするなど、高校3年間で急成長を遂げた。「走ることが嫌いでしたが、高校でかなり走りました」と、中学までは嫌々やっていた走り込みに1日3キロのノルマを課し、向上心を持って取り組んだ。その結果、下半身に強さが増し、球速が上がり制球も安定するようになった。

 魅力あふれる右腕にメジャー球団も注目。ドラフト前には、ドジャースをはじめ、パドレス、フィリーズ、カージナルスの4球団が調査に訪れた。「NPBしか頭になかったので驚きました。ドラフトで指名されなかったら考えていたかもしれません」。メジャーを身近に感じた瞬間だった。

 小さな頃から大谷翔平投手に憧れていた。「二刀流でプレーする姿もですし、人間性の部分でも見習うことがたくさんありました」と、SNSやYouTubeでメジャーの舞台で活躍を続ける大谷の姿を欠かさずチェックしてきた。それだけにドジャースが調査している報せは、メジャーへの思いを一層強くした。

安定した制球も魅力、コーチも「器用な投手」と評価

 2メートルの長身から投げ下ろす力強い速球が魅力だが、安定した制球も持ち合わせており、球が大きく暴れることはない。合同自主トレ、キャンプと右腕を見てきた横山竜士2軍投手コーチは「器用な投手」と評価する。

「体が大きいので、牽制やフィールディングを心配していましたが、こちらが思っていた以上にうまくできています。投げている球を見てもすごくいいものを感じさせてくれます」

 右投げ右打ちの菊地だが、文字を書くのは左手。サインを求められた際も左手でペンを走らせる。野球をしていた兄が右投げだったため、それを真似したそうだが、右手と左手を使いこなすところからも菊地の“器用さ”が見てとれる。

 キャンプ前半は体づくりに励んできたが、状態の良さを持続できれば実戦での登板も見えてくる。両親から授かった“ハルン”の名前は、パキスタンの言葉で「王様」の意味。愛嬌たっぷりの18歳は「メジャーへの興味はめちゃくちゃあります」と未来を見据える。まずは広島を代表する投手へ、米注目のポテンシャルを秘めた右腕の挑戦が幕を開けた。

(真田一平 / Ippei Sanada)

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