OB絶賛の阪神21歳「群を抜いています」 打順問題解決へ…簡単じゃない“大山の後ろ”

藤川監督は3番佐藤輝、4番森下、5番大山の新クリーンアップ構想
藤川球児新監督の下でV奪回を目指す阪神。現役時代にヤクルト、阪神など4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は沖縄・宜野座キャンプを視察し、昨年ブレークした21歳の前川右京外野手をキーマンに指名した。
レギュラーの貫禄が漂い始めた。前川は16日に行われた楽天との練習試合に「5番・左翼」で出場すると、5回2死一、二塁で渡辺翔太投手のパームボールを右翼席へ運ぶ3ラン。7回には西垣雅矢投手から、“教科書通り”にピッチャー返しの中前打を放った。
野口氏は「下半身をどっしりさせて体を開かず、ボールを前でさばくタイプ。打撃はどんどんよくなっていると思います。もう“レギュラー候補”という感じではない。“レギュラー格”でいい。外せない選手になっていくと思います。守備では送球に少し難がありますが、打撃は“候補”の中では群を抜いています」と絶賛する。
前川は2021年ドラフト4位で奈良・智弁学園高から入団し、3年目の昨年、1度も出場選手登録を抹消されることなく1軍に帯同した。143試合中116試合に出場し、スタメンは83試合。打率.269、4本塁打42打点をマークした。
レギュラーが確定的となると、前川の打順はどうなるのか。野口氏は「3番・前川を見たい気持ちがあります」としつつ、「現実問題としては、今年は5番を打つ大山(悠輔内野手)の後ろの6番かなと思います」と予想する。
6番には前川を“指名”…「怪我をして戦線を離脱したら元も子もない」
藤川監督は3番・佐藤輝明内野手、4番・森下翔太外野手、5番・大山の新クリーンアップ構想を描いている。野口氏は「藤川監督の発言や報道を見ていると、大山に4番を任せられないから5番に下げるのではなく、打点を稼げる大黒柱の大山を、9人の打線のど真ん中に置くことが最善と考えているのだと感じます」と察する。
「となると、大山の後ろの6番が非常に重要になります。ここが弱いと、四球で歩かされてしまいますから。そういう意味で前川を6番に置くのであれば、うなずけます」と野口氏。「前川にしてみれば、むしろ3番の方が気は楽かもしれない。(大山の後ろを打つのは)簡単ではありませんが、前川ならこなせると思います」とエールを送った。
智弁学園高では1年生の夏から4番に座り、2020年にコロナ禍をうけて大会の代替として開催された甲子園高校野球交流試合を含めると、甲子園に4回出場した前川。その打棒を、野口氏は当時から高く評価していた。順調な成長に目を細めながらも、「怪我をして戦線を離脱したら、元も子もない。1軍でシーズンを完走したのは昨年が初めてですから、とにかく怪我をしないように十分注意してほしい」と切望する。いよいよ天才的な左の強打者が、プロの1軍で本領を発揮しそうだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)
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