栗原陵矢に教わった「なかった感覚」 “志願”の弟子入りで覚醒…杉澤龍、勝負の3年目
春季キャンプで練習するオリックス・杉澤龍【写真:小林靖】オリックス・杉澤が“栗原塾”で得たもの
チャンスに強い打者の助言で打撃開眼を目指す。オリックス・杉澤龍外野手が、2020年の日本シリーズでMVPを獲得するなど、勝負強い打撃を武器とするソフトバンク・栗原陵矢内野手の打撃理論を取り入れ、打球飛距離を大きくアップさせた。
「栗原さんと一緒に自主トレをさせてもらい、打撃面では僕の考えが全て消されて、これまでにはなかった感覚が生まれたんです。今年は絶対に打ちます」。自信に満ち溢れた表情で前を向いた。
杉澤は東北高、東北福祉大を経て2022年ドラフト4位でオリックスに入団。長打力と広角に打ち分ける巧打で、プロ1年目はウエスタン・リーグで92試合に出場し、チームトップの38打点を記録するなど勝負強さを発揮した。
「教えてもらったことは、今まで僕がやってきたことと全く逆のことでした」
今オフの契約更改では、球団から「守備の方では言うことがない。あとは打つ方を頑張ってほしい」と要望が出されるほどで、1軍の出場機会を増やすためには打撃向上が急務だった。本人から「実戦で打撃を磨きたい」と球団にお願いをし、オフには前年の豪州に続いて台湾のウインター・リーグに参戦。球団から2年連続の海外派遣は初めてで「異例でしたが、本人の前向きな姿勢に応えました」と小浜裕一球団本部長から期待を込め送り出された。
しかしながら、期間中は16試合に出場して51打数7安打の打率.137と結果を残すことはできなかった。「自分と同じような体格の台湾選手のスイングの強さを見て、打撃を変えてみたんですが、バットが出てこないしタイミングも合わなくなって。途中から戻したんですが、噛み合わないまま終わってしまいました」。肩を落として帰国した杉澤だったが、ソフトバンク・栗原の自主トレに参加し、展望が開けたという。
栗原は杉澤と同じ左打者。2020年の巨人との日本シリーズ第1戦で、菅野智之投手(オリオールズ)から先制2ランを放つなど、4戦で打率.500で最高殊勲選手賞(MVP)に輝いた。昨季は2度、月間MVPを獲得し、今季は「3割、30本」を目標に掲げるスラッガーからもらった助言は、これまでの杉澤の打撃理論を覆すものだった。
(北野正樹 / Masaki Kitano)