海外イベント最大、東京で52億円の収益か 絶大な大谷効果…MLBが抱く日本市場での“野望”

東京シリーズは国外で最大のイベントに
東京ドームで18、19日に行われたカブスとドジャースの開幕戦「MLB東京シリーズ by Guggenheim」が、記録的な収益を生み出す見込みだ。米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」は18日(日本時間19日)、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏の発言を引用し、この東京シリーズはMLB史上最大の海外イベントになると報じた。
エバン・ドレリッチ記者は同記事で「もしMLBの思い通りになれば、このシリーズは始まりにもなる」と指摘。MLB側は大谷翔平投手の活躍から「日本はファンの関心と現金の宝庫だと見ている」と記した。
記事によると、マンフレッド氏は、東京シリーズの収益が3500万ドル(約52億円)に達すると見込む。これは、MLBの夏のイベントであるオールスターゲームと肩を並べる規模となる。日本市場のMLB関連商品の販売を担当するファナティック社では、15日のドジャースと巨人のプレシーズンゲームの時点で、アジアでの売上記録が更新されたという。
マンフレッド氏は「我々は長年、日本市場を追い求めてきたが、それには時間がかかる。オオタニは(日本でのMLBの利益に関しては)加速装置のようなものだ。何が言いたいかといえば、たまには我々も幸運にならなければならない、そうだろう?」とし、日本がMLBの経済的な成長にとって極めて重要な市場であることを強調した。
さらに、MLBは日本や韓国での試合を「もっと定期的に活動する」ことを視野に入れており、今回の東京シリーズのようなイベントを3年ごとに行うことも検討しているという。また、2026年春にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催も控えており、MLB選手のプレーが日本で再び注目を集めることになる。
一方で、NPBとMLBの関係については課題がある。米国でプレーする日本人選手の数が増え続けることが避けられない中で、マンフレッド氏は「(日本に)損害は加えたくない。それについては少し気をつけなければならないい」と語り、日本球界とのバランスを模索しているという。
山本由伸投手や佐々木朗希投手の代理人として日本人選手の移籍に関わるジョエル・ウルフ氏は「MLBを本当に大きくしたければ、各チームにもっとNPB選手を惹きつけることだ」と指摘。その一方で「日本に根付いて日本の文化を学ぶために、莫大な時間とエネルギーと人員を費やしてきたチームはほんの一握りだ」と、まだ熱量に差があることも課題に挙げた。
MLBは、日本市場の拡大を追い風に数十億ドル規模の利益を見込んでいる。ただ、その成功のカギを握るのは、今後のNPBとの関係性にもあるのかもしれない。
(Full-Count編集部)
