巨人へのFA移籍は「一択でした」 画策されていたトレード…決断した明快な理由

DeNAで活躍した梶谷隆幸氏は2020年オフにFAで巨人へ移籍した
ベイスターズで14年間プレーした梶谷隆幸氏は、2020年オフに国内フリーエージェント(FA)権を行使して巨人へ移籍した。残留と移籍の狭間で心を揺さぶられた原辰徳監督の言葉と、同学年の坂本勇人内野手の存在。さらに移籍決断にあたって「僕の中で一番大きかったこと」についても明かした。
2020年に109試合に出場し、打率.323、19本塁打、53打点、14盗塁という成績を残した梶谷氏は国内FAとなり巨人へ移籍した。巨人との交渉で当時の原監督からの言葉は、強く印象に残っている。
1軍出場機会が減っていた2018年、2019年頃からすでにトレードを画策していたそうで「前々からずっと欲しかった。トレードで欲しいという話は何度かしていたんだよ」と言われたという。だが当時はDeNAの主砲、筒香嘉智外野手がメジャー挑戦で抜けるかもしれないという理由で成立しなかったと伝えられた。
その上で「今回FAになったから、こうして手を挙げることができた」と口説かれた。梶谷氏は「原さんほどの方にそんなことを言われたのは嬉しかったです」と振り返り、さらに「巨人に(坂本)勇人がいたのも大きかったです」。同学年でも一目を置く存在とチームメートになれる環境も魅力だった。ただ、最大の移籍の決断理由は別にあった。
「環境を変える、というのが僕の中で一番大きかったことです。ベイスターズが嫌になったとかではなく、どこのチームにいても出たがっていたと思います。新たな違った環境に行くと、人っていろんな見られ方もするし、自分がどう進んでいくのかという楽しみも出てくる。不安要素も出てくるけど、そういう状況にいることが、僕自分が好きなんですよ」
FAとなって声をかけてくれたのは巨人のみ。「なので僕の中では一択でした」と、巨人のユニホームに袖を通した。20代前半からずっと生やしていたトレードマークのヒゲも剃った。「電気カミソリでいきました。別に抵抗はなかったですよ。組織のルールというものもありますから。嫁からは最初『めっちゃ違和感ある』とは言われましたけどね」。
こうして誕生した「巨人・梶谷隆幸」。4年間プレーし、引退する際にはコーチ職を打診されたが固辞した。「野球に没頭し続ける方は素晴らしいと思いますけど、僕は野球だけでは人生が終わりたくないという考えでした」。巨人を離れた理由は、新しい環境に進んでみたい、という巨人に移籍した時と同じ思いからだった。
(湯浅大 / Dai Yuasa)
