なぜ戦力外選手にベストナイン票? 日本球界に求められる記者投票の透明性
今季のベストナイン投票では巨人を戦力外となったモタと吉川大に1票が入った
16日から18日にかけてプロ野球界は表彰ラッシュとなった。16日には最優秀バッテリー賞の授賞式が行われ、2020年度のベストナインの受賞選手が発表された。17日には「NPBアワード」が行われ、MVPや新人王が決定。18日には守備の名手に贈られる「三井ゴールデン・グラブ賞」の受賞選手が発表となった。
ベストナイン、そしてゴールデングラブ賞やMVP、新人王などの表彰は記者投票によって決まる。投票権を持つのは、新聞社、通信社、放送局のプロ野球記者で取材歴5年以上のキャリアを持つ者と定められている。
このベストナインやゴールデングラブ、新人王、MVPなどの投票で必ずと言っていいほど、物議を醸すのが、首を傾げてしまうような投票が少なからずあることだ。今年で言えば、ベストナイン投票のセ・リーグ外野手部門で巨人のイスラエル・モタ外野手に1票が入っていたり、二塁手部門で巨人を戦力外となった吉川大幾内野手に3票が入っていたりした。
過去に物議を醸したものと言えば、例えば、2017年の新人王投票。セ・リーグでは中日の京田陽太内野手が選ばれたが、2位に入ったのは阪神の大山悠輔内野手。この年、DeNAの浜口遥大投手が10勝をマークする一方で、大山は75試合で打率.237、7本塁打38打点の成績だったが、浜口の27票に対して、大山には49票が投じられていた。
これらの投票に対して、選手たちにはなんの落ち度もない。問いたいのは、こうした“不可解な”投票を行った人物が胸を張って、その選手に投票した理由を世に向けて発信できるのか、ということだ。
こうした少数投票の中には、記者と選手の個々人の関係や担当球団への忖度といった側面もあるのだろう。ただ、果たしてこの“1票”が入っていることで、その選手は喜ぶのだろうか? 逆に、その選手に対して失礼という認識にはならないのだろうか。