MLBは田中将大を失った… 停滞FA市場を米記者嘆く「世界最高の投手の1人が米国を去る」
田中将大と契約しなかったMLB球団は「彼を見逃した」
ヤンキースからFAとなり、古巣の楽天入りが決まった田中将大投手。2013年以来8年ぶり日本球界復帰を米メディアでも相次いで報道した。野球専門の米データサイト「ファングラフス」では、7年間過ごしたメジャーリーグを去ったことに「もしかすると今オフシーズンで最も驚くべき契約かもしれない」と表現している。
同サイトでは、米メディア「ジ・アスレチック」にも寄稿しているライター、ブレンダン・ガウロウスキー氏の記事を掲載。ヤンキース入りした2014年から6年連続で2桁勝利を挙げ、4度の開幕投手、2度の救援出場を果たした田中の実績に触れ「優雅な投球フォーム、えげつないスプリット、そして練り上げられた投球の組み合わせで、彼は素晴らしい投手であり続けた。中立的な立場から見てとても楽しい投手だった」と述べた。
8年ぶりの日本復帰の理由を環境面やコロナ禍の影響などと推察。「これらを全て考慮しても、これは奇妙だ。近年の歴史の中で、タナカほどの才能を持った選手がMLBを去ることは、特に彼の年齢ではほとんど前例がない。もちろん、メジャーリーグレベルの能力を持った選手は毎冬アジアに向かっているが、そのほとんどはだいたい控えレベルの選手だ」との見方を示した。
同サイトが今オフ当初に公表していたFAランキングで投手2位になっていた田中。メジャー7年間での実績は揺るぎなく「タナカは32歳で、キャリアにおいて最盛期ではないとはいえ、これからの数年間、彼がメジャーで安定した貢献者になれないと考える理由はわずかしかない」と推し量った。
ヤンキースを含めたMLB球団と契約に至らなかったことには「現時点では、十分な金を出すほどタナカの耐久性と実績を評価した球団がいなかったということは注目に値する。MLB30球団が事実上彼を見逃したのは、驚倒させることだ」とも。その一因には近年の厳しいFA市場の状況があると指摘する。「ここ4年のうち3年のFA市場は氷のように冷たかった。あらゆる目的から、リーグはサラリーキャップを設け、多くのチームはそれに達するリスクをとろうとしない」と現状を嘆く。
「これらを背景に、世界最高の投手の1人が米国を去ろうとしている。世界最高のリーグの球団がどこも彼との契約を優先しなかったことを1つの理由として」とまとめたガウロウスキー氏。NPBにとっては“歓喜”だが、メジャーにとっては“損失”だということだろう。
(Full-Count編集部)