飛躍への断章、菊池雄星の840球 “ピッチングをまかなう”メジャー3年目の境地
今季2勝目、直球は最速約158キロを計測
■マリナーズ 4ー2 アスレチックス(日本時間25日・オークランド)
マリナーズの菊池雄星投手が、4月29日(日本時間30日)以来となる今季2勝目(3敗)を挙げた。5月24日(同25日)、敵地でのアスレチックス戦に中6日を空けて登板。左背筋に痙攣(けいれん)を起こし7回途中で降板を余儀なくされたが、4安打1失点と力投。過去6度の対戦で1度も白星を得られなかった難敵からの初勝利は、「進化」という思い込みを斥ける投球だった。【木崎英夫】
メルクマールという言葉がある。一般的に「目標への過程で達成の度合いを測る判断基準」と定義されるが、それが、この日の投球と線でつながった――。
試合前の会見でマリナーズのサービス監督は「振り回さず自制を利かす各打者にカッターで追い込み、優位なカウントを作る攻めの投球を期待する」と話したが、菊池はカットボールを軸としてきたこれまでの組み立てを一転させる。理由はシンプルだった。
「本来、ストレート主体でいきたいところですけど、今年はなかなかコンスタントに軌道が安定しなかったんです。カットに頼ることなく、4球種がなんでも使える自信が今はありますから」
前回登板となった17日(同18日)のタイガース戦では、初回の立ち上がりからカットの精度が上がらず、苦しんだ経緯がある。この日は直球が走り、最速98マイル(約158キロ)を計測。右打者の内角へのカッターと外角へのスライダーを組み合わせる「出し入れ」を抑え、直球主体の配球で挑んだ。中継画面にもその割合を表す数字が映し出された。