マー君の“投球過多”は真実か? 米国の報道に存在する矛盾

1試合当たりの平均投球数が多いのは事実だが…

 マー君は本当に投げすぎなのだろうか? 楽天からポスティングされた田中将大投手(25)について、米国内で“投球過多”を指摘する報道が相次いでいることは、すでにFull‐Countでも伝えたが、現地の記事の内容を慎重に見ていくと説得力に欠ける部分も多い。さらに言えば、「日本人投手は投げすぎ」という固定観念から、注目が極限にまで高まっている右腕の「あら探し」をしているようにも見えてしまう。ここで米国内の報道の内容を改めて振り返ってみたい。

 先日、Full‐Countで取り上げたのは、12月30日付の米ヤフースポーツの記事だ。内容は、田中が投じてきた球数の多さに米国内で懸念の声が上がっているというもの。この原稿で最初に使用されているデータは過去5年間における1試合あたりの平均投球数で、田中の場合は113.3球でどのメジャーリーガーよりも多いというものだった。

 ちなみに、米国で1位だったのはジャスティン・バーランダー(タイガース)の112.9球で、2位はフェリックス・フェルナンデス(マリナーズ)の106.5球。いずれもサイ・ヤング賞に輝いたことのあるメジャー屈指の右腕だ。さらに、田中が過去5年間で先発した123試合のうち130球以上投げているのが15試合だったのに対し、米国では5年間で先発した延べ2万4300人のうち130球以上に達したのは23人だけというデータも紹介されている。

 ただ、これらの数字だけで投げ過ぎと判断するのは難しい。重要な要素が抜け落ちているからだ。それは日米の登板間隔の違いである。野球ファンなら多くの人が知っている通り、日本は中6日、メジャーは中4日で先発ローテーションを回す。登板間隔に2日の違いがあれば、当然、球数は変わってくる。

 米国では100球が先発投手交代のメドとされているが、ダルビッシュ有は渡米後も120球以上を投げることがあった。ただ、それは次回登板が中5日となる場合がほとんどで、ロン・ワシントン監督は球数の多さについて質問を受けると、必ず、「次は休みが1日多いからだ」という趣旨の回答をしている。つまり、メジャーでも登板間隔が中4日より長ければ、交代のメドも100球より増えるという考え方なのだ。

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