松坂大輔が刻むナゴヤドームの記憶 「苦手意識ない」も忘れられない「一発」
中日・松坂を取り巻く熱気、「苦手意識ない」ナゴヤドームで復活なるか
オープン戦とは思えない、公式戦さながらの熱気が試合前から漂っていた。場内のスターティングラインアップが発表されると大歓声。試合開始時間を迎え、その男がマウンドに向けて歩みを進めると、また大歓声が起きた。ストライクが1球入ると拍手が起き、アウトが1つ増えれば、また歓声が上がった。
3月4日、ナゴヤドーム。楽天とのオープン戦で、中日の先発マウンドに上がったのは松坂大輔投手だった。やはり「平成の怪物」の注目度は高く、オープン戦にも関わらず、3万1282人の観客が集まった。
同日、ヤフオクドームで行われたソフトバンク-阪神の3万7481人は少々別格として、他のオープン戦は巨人-ヤクルト(東京D)が2万7637人、西武-広島(長崎)が1万898人、札日本ハム-ロッテ(札幌D)が1万2539人、オリックス-DeNA(ほっと神戸)が6851人となっており、3万1282人の数字は際立つ。そして、この中には数多くの“松坂見たさ”のファンが幾らか含まれていたことも、想像に難くない。
シーズンさながらの雰囲気が滲み、これには松坂自身もファンへの感謝を口にしたほどだった。「久しぶりにこういう雰囲気で投げさせてもらえて、それが1番良かったなと思いました。公式戦自体、もう僕は全然投げていないですけど、公式戦のような雰囲気を味あわせてもらえて本当に良かったです」。中日の松坂大輔としての“本拠地デビュー”は2回2安打2失点。アマダーに2ランを浴びたとはいえ、決して内容的に悪いものではなかった。
松坂がナゴヤドームで登板するのは、西武在籍時の2005年5月31日、交流戦での中日戦以来のことだという。この日は、実に4660日ぶりのナゴヤドームでのマウンドだった。これから自身の“庭”となるマウンドを「数字上はあんまり良くないらしいですが、僕はあまり苦手意識はないですね。硬くて投げやすいマウンドというイメージがあるし、今日も(イメージの)そのまんまでした」と語り、好感触を得ていた。
松坂のナゴヤドームでの登板といえば、本人の記憶にも残り、思い起こさせるのが、2004年の日本シリーズだ。この年、松坂のいた西武と中日は日本一を争って対戦。第7戦までもつれ込んだ末に、西武が日本一となっている。この時、松坂はシリーズ3試合、全てナゴヤドームで登板している。