世代最速157キロ右腕・風間が変化球を多用したワケ 8K完封を導いた“脱力投球”
序盤は変化球を多用、最終回でも153キロ計測「余裕ありました」
晴天のこまちスタジアムのマウンドに、縦縞のユニホームが集まった。歓喜の瞬間。11日から13日間に渡って行われた全国高校野球選手権の秋田大会は、ノースアジア大明桜の優勝で幕を閉じた。23日に行われた秋田南との決勝では、今秋のドラフト1位候補・風間球打投手(3年)が3安打8奪三振の完封。6-0で勝利し、4年ぶり10度目の夏の甲子園出場を決めた。
「勝たないと、ここで終わってしまう。甲子園で自分の投球を見せるためにも、決勝で自分らしい投球ができてよかった」。9回2死、右翼を守っていた上山優和外野手(2年)のグラブに打球が収まると、風間は高々と両手を挙げた。
18日に行われた準々決勝の秋田戦で、高知高・森木大智投手、大阪桐蔭・関戸康介投手が記録した世代最速とされる154キロを3キロ更新する157キロを計測した風間。最大の魅力はその豪速球だが、この日の初回に投じた15球のうち直球はわずかに3球のみ。「狙われていることが分かったので、入りは変化球で行こうと、捕手の中井(稜貴)と他の投手らと話していました」。130キロ中盤の小さく曲がるスライダーと大きく曲がるカーブに加え、チェンジアップやフォークと多彩な変化球で打者を翻弄した。
変化球中心の投球には、もうひとつ意味があった。長いイニングを投げ抜く。「監督から『楽に投げろ』と言われていたので、うまく力を抜きながら投げることできたと思います。疲れもあまりなく、余裕はありました」。最終回でも153キロを計測。そんな風間の投球を、輿石重弘監督も「うまく変化球を使って力を抜くことができるようになってきた」と評価した。
輿石監督に誘われ、地元の山梨から単身で秋田へ。当初は冬の雪がつらく「やる気が削がれることもあった」と話すが、ランニングで体を温めながらトレーニングをしてきた。その成果が実を結び、球速、スタミナともに成長。加えて、この夏は「力を抜く」投球術も身につけた。
「プロ野球はみんな目指している。将来は日本を背負って投げるような投手になりたい」。パワーに投球術が加わり、また一段とレベルアップした右腕は、将来日の丸を背負うためにも、まずは全国の舞台でその名を轟かせるつもりだ。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)