祖父と父は現役時代に甲子園未勝利 智弁和歌山・高嶋奨哉が叶えた“家族の悲願”

智弁和歌山・高嶋奨哉【写真:荒川祐史】
智弁和歌山・高嶋奨哉【写真:荒川祐史】

祖父の高嶋仁名誉監督は海星、父・茂雄さんは智弁和歌山で甲子園出場も未勝利

 第103回全国高等学校野球選手権大会は24日、大会11日目を迎え、第2試合で智弁和歌山が高松商(香川)に5-3で勝利した。監督として甲子園優勝3回、通算68勝を挙げた智弁和歌山・高嶋仁名誉監督の孫、高嶋奨哉内野手(3年)は「7番・三塁」で出場し、2安打を放つ活躍で勝利に貢献。祖父(長崎・海星高)、そして同校OBの父・茂雄さんが高校時代にできなかった甲子園1勝を刻んだ。

 高嶋家にとっての“悲願達成”となった。祖父の高嶋仁名誉監督は指揮官として多くの歴史を作ってきたが、高校時代は長崎・海星時代の1963年夏、1964年夏に甲子園に出場も、勝利はなし。父・茂雄さんは91年夏、92年夏と智弁和歌山で出場もこちらも白星を手にできていなかった。

 ひとつの勝利を掴むことの難しさは、学んできた。「一つ一つ、丁寧にプレーをしないといけない。一球の大切さにこだわってやってきました」と幼少の頃から、伝統の智弁のユニホームを見て育ってきた。これまでは甲子園のスタンドで指揮官の祖父、智弁和歌山を応援してきたが、この日は祖父から「思い切っていけ」と応援を受けて、打席に立った。その言葉は確かな力となった。

 スタンドで高嶋仁名誉監督はチームの戦いをしっかりと見届けていた。今夏は初戦が不戦勝となったため、和歌山大会の決勝から約1か月も空いて、実戦となったが、しっかりとホットコーナーを守り、チームをベスト8進出に導いた。「これからも大事な場面での一本にこだわっていきたいです」と祖父も成し遂げられなかった選手として優勝旗をその手でつかみ、笑顔で報告をしたい。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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