“選抜優勝投手”は大成しているか? 過去20年間のプロ入りした選手の成績を検証
西村健太朗は最多セーブ、東浜巨は最多勝のタイトルを獲得した
3月18日開幕の「第94回選抜高校野球大会」に出場する32校が、28日の選考委員会で決まる。「甲子園の優勝投手は大成しない」とはよく言われる言葉だが、実際はどうなのだろうか。2002年から2021年までの20年間(2020年は中止)の選抜大会で優勝に貢献し、プロの世界に進んだ投手の成績を検証する。(敬称略)
2002年に報徳学園を2度目の選抜王者に導いた大谷智久投手はロッテで通算120ホールドを挙げた。2003年の広陵のエース・西村健太朗は巨人の守護神として活躍。2013年に最多セーブのタイトルを手にしている。2004年は創部2年の済美が全国制覇。2年生エースだった福井優也は今季、楽天でプロ12年目のシーズンを迎える。2007年に常葉学園菊川を優勝に導いたDeNA・田中健二朗はトミー・ジョン手術を経て昨年3年ぶりに1軍復帰を果たした。
2008年に沖縄尚学に2度目の優勝をもたらしたソフトバンク・東浜巨は2017年に最多勝を獲得。2009年決勝で花巻東・菊池雄星に投げ勝った清峰・今村猛は広島で36セーブ、115ホールドをマークして昨季限りで現役引退した。2012年に春夏連覇を達成した大阪桐蔭・藤浪晋太郎は阪神で入団1年目から3年連続2桁勝利。3年目に最多奪三振のタイトルを獲得したが、近年は制球難などから低迷している。
浦和学院2年時の2013年、全5試合に先発して3完投の活躍を見せたロッテ・小島和哉は入団3年目の昨年、初の2桁勝利をマークした。昨年のオリックスとの日本シリーズで完封勝利を飾ったヤクルト・高橋奎二投手も、龍谷大平安2年時の2014年大会で4試合に登板した。2015年大会で「4番・投手」として敦賀気比を優勝に導いた平沼翔太は日本ハムに野手で入団。昨季途中に西武に移籍した。2016年のV腕・智弁学園の村上頌樹は阪神1年目の昨季、ウエスタン・リーグで10勝を挙げて最多勝を獲得した。
早大から2021年ドラフト2位でDeNAに入団した徳山壮磨は、2017年大会で全5試合39回を7失点で大阪桐蔭2度目Vの立役者に。大阪桐蔭が2連覇を遂げた2018年大会は中日・根尾昂内野手が3試合26回を3失点、日本ハム・柿木蓮が3試合を15回2失点、巨人・横川凱が2試合を5回1失点だった。
中日・石川昂弥内野手は東邦のエースとして2019年大会で全5試合に登板。40回で4失点の投球で選抜大会最多の5度目の優勝に導いた。2021年大会で優勝した東海大相模の左腕・石田隼都は5試合29回1/3を投げて無失点の快投を演じた。昨年ドラフトで巨人に4位指名され、入団した。
過去には1957年優勝の早実・王貞治、1961年優勝の法政二・柴田勲が打者としてプロで才能を開花。1965年Vの岡山東商・平松政次は通算201勝をマークし、1998年春夏連覇の横浜・松坂大輔は日米通算170勝をマークした。この20年でもタイトルホルダーは西村、東浜、藤浪の3人がおり、昨季は小島、高橋が台頭。多くの選抜優勝投手がプロの世界でも活躍している。