なぜDeNA今永はエースに君臨できるのか? “経験者”三浦監督が語る資質
今季全試合QS…4試合中3試合で初回失点も粘りの投球
■DeNA 4ー1 オリックス(31日・横浜)
エースとは、こういうものだ。DeNAの今永昇太投手は5月31日に本拠地・横浜スタジアムで行われたオリックス戦に先発し、毎回の8安打を浴びながら6回1失点(自責点0)に抑え2勝目(0敗)を挙げた。今季は左前腕の炎症で出遅れたが、全4試合でクオリティスタート(QS=6回以上を投げ自責点3以下)を果たし、防御率1.67の安定感を誇っている。
降板後、今永が最初に口にしたのは「初回に失点するという同じ失敗を何回も繰り返しているので、しっかり反省しなくてはいけない」との言葉だった。実際、初回に佐野のエラー絡みで2死三塁のピンチを背負い、マッカーシーに先制タイムリーを許した。今季4試合中、完封勝利を挙げた5月17日・中日戦以外の3試合はいずれも初回に失点している。
とはいえ、そこからの粘りが真骨頂だ。毎回安打を許しながら、ホームは踏ませない。特に、昨季パ・リーグ本塁打王の5番・杉本を3打席3三振に封じたことがポイントだった。3回2死一、三塁での第2打席では、ストライクゾーン内のチェンジアップ2球で追い込んだ後、外角高めの148キロ速球を振らせて3球三振に仕留めた。「最低限のそのまた最低限の仕事はできた」とクールに振り返った。
そんな今永を、かつてこのチームでエースを張った三浦大輔監督は高く評価する。「調子は良くなかったと思います。イメージしているボールとのズレがあったと思う。ただ、初回に先制されてもガタガタと崩れないから、毎年ローテーションを守れる。投げながら修正し、ゲームをつくっていく姿を、さすが今永だと思って見ていました」と称えた。
粘れる理由は何か。指揮官は「投球の引き出しが多いこともそうだが、気持ちの問題が大きいと思う」と分析する。「僕がよく先発投手に言っているのは、点を取られても、リードされたとしても負けではない。1点を取られたら2点目を、2点取られたら3点目をどう防ぐかが大事だということ。交代と言われるまで集中力を持ってやれるかどうか。1年間ローテーションを守っても、絶好調と言える試合は2~3試合で、それでも勝てる保証はないのですから」と語った。
さらに三浦監督は「練習の時から、自分の得意な球だけ投げて気持ち良く終わっているようでは、いけないでしょうね」とも言及した。勝つためにはもちろん、投手陣全体のレベルアップを図る上でも、今永という手本がいることは、三浦監督にとって非常に心強いに違いない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)