カラバイヨに続くブレイクは? BCリーグからNPBに挑む選手の活躍を占う
球界に新たなトレンド、独立リーグからNPBに挑む外国人選手たちは活躍できるのか
昨年の今頃、シーズン途中の補強外国人選手の話題は、キューバ一色だったが、今年はまた別のトレンドが見られる。ヤクルトのミッチ・デニング外野手(5月26日に出場選手登録)に始まり、阪神のネルソン・ペレス外野手(6月19日に入団会見)、そしてオリックスのジョヘルミン・チャベス外野手(6月22日に入団会見)と独立リーグのBC(ベースボール・チャレンジ)リーグからの獲得が続いているのだ。
発端は、オリックスが保険的な意味合いで獲得した2014年BCリーグ三冠王のフランシスコ・カラバイヨ外野手が活躍を見せ、そのインパクトが各球団の編成担当者のBCリーグへの評価を高めたことだろう。また、昨年から今年にかけて、アレックス・ラミレス、フリオ・フランコ、そしてタフィ・ローズと、NPBで活躍した外国人選手がBCリーグに入団しており、リーグそのものへの注目度が上がったことも影響しているのかもしれない。
いずれにしろ、カラバイヨに続く「二匹目のドジョウ」を狙う球団が増えているようだ。
今回は、そのBCリーグ出身の外国人選手の活躍予想をしてみたい。カラバイヨ、デニング、ペレス、チャベスの4選手に共通しているのは、20歳代前半で米マイナーAA級に昇格したが、壁にぶつかり日本のBCリーグに活躍の場を求めてきたということだ。カラバイヨは日本でプレーした最初のリーグは四国IL(アイランド・リーグ)で多少ルートが異なるが、今回は同等に扱う。
こうやってみると、もともとパワーヒッターでないデニング以外は、AA級で三振の割合=K%(注1)が25%前後とかなり悪い数値となっている。一方で、カラバイヨとペレスは長打力を示すISO(注2)が.170超えとなっており、パワーの片鱗がうかがえる数値を記録している。
BCリーグではAA級に比べ投手のレベルが下がるのか、4選手とも打撃指標をグンと伸ばしている。
カラバイヨのNPB挑戦1回目は137打席と起用が限定的だったが、AA級時代と同等の打率、OPS、ISOを記録した。しかし、K%は大きく悪化した。
BCリーグに戻った2年間の数値は凄まじく、.404というISOは驚異的だ。ベーブ・ルースのメジャー通算ISOは歴代最高となる.348、2位はマーク・マグワイアの.325、3位がバリー・ボンズの.309。これらの面々が長打を打っていた頻度をイメージすると、BCリーグでのプレーを見ていなくても、カラバイヨの働きぶりがおわかりいただけると思う。また三振も再び減らしており、K%は18.2%まで下げてもいる。
そして復帰したオリックスにケガ人が続出。念願のNPBのレギュラーをつかんだ今年は、ISO .221、K% 24.4%とNPBでAA級時代よりもよい数字を記録する健闘を見せている(6月21日現在)。
2013年にはBCリーグで首位打者に輝いたこともあるデニングも、カラバイヨと同じように、BCリーグではISOを上げ、K%をかなり下げている。
NPBでは6月7日のロッテ戦で打った決勝満塁弾で脚光を浴びたが、ここまでのISOは.175で長打は減少傾向にある。K%は20.6%と、BCリーグでの数字よりもAA級時代に近い数字になっている。まだ打席数が少なく判断しにくい面もあるが、このままシーズン終盤まで起用され続けた場合、「三振が多めの中距離打者」としての成績に終わりそうだ。