なぜ選手と球団は契約交渉で揉めなくなった? 保留や越年がめっきり減った理由
オフィシャルな契約更改交渉の前に年俸は提示され“下交渉”が行われている
球界はオフ真っ只中で、各球団では契約更改交渉が行われている。ひと昔前は交渉決裂や保留、越年などが日常茶飯事でメディアを賑わせていたものの、近年はめっきりなくなった。まれに保留はあるものの、かつてのようなバッグを投げたり、椅子を蹴り上げたり、といった過激な事態はなくなっている。
なぜ契約交渉の決裂がなくなったのか。
そこには現在のプロ野球界の契約交渉の形が以前とは大きく異なっているところが理由にある。交渉の席で初めて年俸を提示され、そこから交渉が始まるように思っている人が多いかも知れないが、今では選手たちは交渉の席に着く前に、だいたいの提示額は把握している。
選手には交渉の前に、球団から来季に向けたおおよその年俸の提示がある。そこから連絡手段を使って“下交渉”が行われる。ある程度、着地点が見えた段階でオフィシャルな交渉の場が用意される。そこで査定内容の詳細な説明があり、交渉があり、最終的に契約書にサインすることになる。
基本的には“下交渉”の段階である程度、両者が折り合いをつけており、交渉の席に着くときにはサインを交わすことが見越されている。そんな中でも稀に保留が出るのは、最後の最後、希望額との開きがあったり、査定内容を一度持ち帰って精査した上で、再交渉に臨みたいという選手側の思いがあったりする。
年に一度しかない契約更改交渉。球団と膝を突き合わせて契約内容だけでなく、球団の方針だったり、様々な要望を伝えたりする場にもなる。球団によってもスタイルは違い、各選手の持ち時間が1時間ある球団もあれば、20分で矢継ぎ早に交渉が進んでいく球団もある。後者のように短時間で交渉が終わるのも、事前に下交渉が行われて折り合いをつけているからだ。
(Full-Count編集部)