「そんな光景、日本じゃ見ない」 選手が“お下がり”要求…福留孝介氏が米国で感じた格差

今季限りで現役を引退した福留孝介氏【写真:荒川祐史】
今季限りで現役を引退した福留孝介氏【写真:荒川祐史】

日本では不動のレギュラーも、米移籍後は守備固めやマイナーも経験

 2022年シーズンを最後に24年のプロ生活に終止符を打った福留孝介氏。中日、メジャー、阪神、そして中日と歩んだキャリアは、中日第1期、米国期、阪神・中日第2期の3ステージに大きく分けられる。その中でも、2008年からカブス、インディアンス、ホワイトソックス、ヤンキースの4球団でプレーした米国での5年間は、どのような意味を持ったのか。福留氏の米国期にスポットを当てた連載の第2回は「想像しなかったメジャーの実際」について迫る。

 1999年に日本生命からドラフト1位で中日入りして以来、リーグMVP1回、首位打者2回、ベストナイン4回、ゴールデングラブ賞4回に輝くなど、日本でトップクラスの外野手に成長した福留氏は2007年オフにFA権を行使。カブスと4年総額4800万ドル(当時のレートで約53億円)の大型契約を結んだ。

 開幕戦で9回裏に同点3ランを放つ鮮烈なデビューを飾った1年目は、前半こそ正右翼手を任されたが、打率の下降に合わせて先発機会が減少。2年目以降もレギュラーの座は保証されず、守備固めや代打要員にもなった。5年目途中からはヤンキース傘下3Aで長いバス移動も経験。日本にいれば“しなくてもいい苦労”だったかもしれないが、メジャーの本質に触れたことは大きな財産だ。

「どうしてアメリカではマイナーからどんどん新しい選手が上がってくるのか。もちろん実力のあるなしも関係しているだろうけど、日本と何が違うんだろうと考えた時、選手はみんな、頑張ってメジャーに上がってお金を稼いでいい生活をしようと本当に必死。そういう姿を見ると、日本の2軍はすごく恵まれているなって。だって、キャンプが終わる頃になると、マイナーの選手たちがメジャーのロッカーに来て『お下がりをください』って道具を一式持っていくんだから。そんな光景、日本じゃ見ないでしょ」

 米国は契約社会と言われるが、スポーツ界も然り。メジャー契約を結べる選手は1チーム40人で、それ以外のマイナー選手とは年俸も待遇も雲泥の差。いくら成績が良くてもマイナー契約ではメジャーの試合に出られない。「まず最初の関門として40人枠に入らないことには、勝負の舞台にも立てない。そこの差がはっきりしていることって大切かもしれないね」と、明確な区切りについて話す。

米移籍後から考えるようになった「自分に必要なもの」

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