「こんなにもつらいことなんだ…」 “外国人”となった福留孝介氏、米国での葛藤

カブス時代の福留孝介氏【写真:Getty Images】
カブス時代の福留孝介氏【写真:Getty Images】

「野球」と「ベースボール」は同じもの? 別なもの?

「日本の野球」と「米国のベースボール」。両者は似て非なるものだという声があれば、呼び方こそ違えど本質は同じだという声もある。それでは、実際にどちらでもプレーした経験を持つ男は、どう考えるのか。日米で24年に及ぶプロ生活を送った福留孝介氏の米国期にスポットを当てた連載の第3回は「野球とベースボール」だ。

「野球」と「ベースボール」に関する見解を聞くと、迷わず持論を展開し始めた。

「遠くに飛ばすとか、速い球を投げるとか、肩が強いとか、個の力を全面に出してプレーするのがアメリカだと思う。やっぱりチームとして戦うとか、自分が犠牲になってチームを勝たせるとか、そういうことに優れているのが日本の野球。これはどっちがいいとか悪いとかの問題じゃなくて、そういうものなんだと思う」

 この傾向はチームとして考えた時だけではなく、個々の選手レベルで見た時にも当てはまるという。

「日本人選手がメジャー選手にパワーで勝てるかと言ったら、なかなか勝てない。じゃあパワーで勝てないんだったらどうするべきなのか。ホームランを遠くに飛ばすパワーに負けないためには、スピードとテクニックを身につけて総合力で対抗するしかない。そういうことを実際にアメリカで感じ、経験したから、自分のスキルや経験値が上がった。勝つための対抗策であったり、自分の強みだったりを、色々と考えるわけじゃないですか」

 カブス移籍まで中日で過ごした9シーズンでは、首位打者に2度輝き、192本塁打を記録。剛速球を誇る投手を相手にしても、打席でパワーに押されたと感じたことはなかったという。だが、メジャーでは未知の感覚に出会った。

「打席に入ってボールを打った瞬間、捉えたボールに一瞬だけバットが押し戻される感覚は、アメリカで初めて受けたから。『うわっ、球が重いってこういうことだ』って。押し戻されないためには力を入れて打てばいいのかといったら、そういうことじゃない。だったら、何か違うことを考えないといけないなって思った」

初めて分かった外国人選手の気持ち「こんなにもつらいことなんだ」

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