澤村拓一に求められる「救世主」の役目 明らか変化…古巣で躍動するための“条件”

ロッテ・澤村拓一【写真:荒川祐史】
ロッテ・澤村拓一【写真:荒川祐史】

NPB&MLB時代の数値からみる投球スタイルの変化

 3年ぶりに古巣のロッテに復帰した澤村拓一投手。2020年はシーズン途中に加入して抜群のインパクトを残したが、今回も当時と同様の活躍が期待されるところ。メジャーをへて帰ってきた剛腕。日米における年度別の指標に基づく投球スタイルの変化や、ロッテ復帰に際して期待される役割を紹介していきたい。

 まず年度別の指標について見ていきたい。

 奪三振率と与四球率は、2017年の故障前後で大きく異なる傾向が出ている。プロ初年度の2011年は奪三振率が7.83とさほど高くなかった一方で、与四球率2.02、K/BB3.87と、優れた制球力を示していた。クローザーを務めた2015年と2016年も、奪三振率は7点台、与四球率は2~3点台と、キャリア初期と同様の傾向が示されていた。しかし、2018年の復帰後は3年連続でイニング数を上回る奪三振数を記録し、大きく奪三振率が向上。その一方で、与四球率も大きく上昇しており、良くも悪くも力でねじ伏せる投球スタイルに変化していた。

 ただし、ロッテ時代の奪三振率12.43は破格といえる水準で、WHIP0.95も新人時代を上回る、キャリア最高の数字を記録した。相次ぐ故障に伴うモデルチェンジが環境の変化をきっかけに奏功し、以前とは異なるスタイルながら安定感を取り戻したといえる。こうした投球スタイルの変化は、MLBでの投球内容にも関連することになる。

 2021年は53イニングで61個の三振を奪い、奪三振率10.36。MLBでも、高い奪三振力は十二分に発揮されていた。その一方で、与四球率は5.43と日本時代以上に高くなっており、MLBでも日本時代と同様の傾向が示されていた。

 与四球率の高さもあってK/BBは1.91と低い数値となり、WHIP1.45と走者を溜めるケースも多かった。それでも、奪三振率の高さもあって走者を出しても踏ん張り、防御率3.06と大崩れはせず。NPB以上に剛腕の多いMLBでも、澤村の速球とスプリットは通用していたことがわかる。

 2022年は奪三振率7.11と前年から大きく低下した一方で、与四球率は前年に比べれば改善傾向にあった。結果的にK/BBはさらに低下したものの、WHIPは前年とほぼ同じ数値。日本球界復帰後は、本来の高い奪三振率を維持しつつ、与四球率の改善を図れるかがカギとなってきそうだ。

ブルペンのやり繰りに苦しんだチームにとって“救世主”に

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