大谷翔平は「簡単に打てるさ」 強気の“挑発発言”から25日…仲良し同僚が叶える夢
大谷と同僚フレッチャーは直接対決を心待ち「大きな勝負になる」
2月19日、アリゾナ州テンピにあるエンゼルスのロッカールーム。「WBCでショウヘイと対戦したら、どうなる?」。マジメに質問をぶつけたつもりだったが、フレッチャーはイタズラっぽい笑みを浮かべた。そして近くにロッカーがある大谷にまでに聞こえるかのように言い放った。
「ショウヘイは簡単に打てるさ。ツーシームはなかなかいいけどね」
同じ1994年生まれの大谷とフレッチャーは、2018年にエンゼルスでメジャーデビュー。仲良くなるのは自然の流れだった。1年目から携帯ゲーム「クラッシュロワイヤル」で交流し、得点時には人気ゲーム「スーパーマリオ」でコインをゲットする際のジャンプを一緒に披露。「ヒットを打つための儀式」(フレッチャー)としてお互いの顔を平手打ちし合う“激しい交流”もあった。
チームでは共にトラウトに次ぐ古株。冒頭の“挑発発言”はチーム内で一番よく知った仲だからこそ言えるジョークだった。
ただ、大谷との対戦を望んでも実現するか分からないのが勝負の世界。イタリアのWBC最高成績は2013年の2次ラウンド進出。プールAはチャイニーズ・タイペイ、オランダ、キューバ、パナマと強豪揃いで、イタリアの下馬評は決して高くなかった。「強いチームばかりだからね。まずは日本に行けるように」。厳しい表情で語っていたのが印象に残っている。
それがどうだ。イタリアはプールAの全5チームが2勝2敗で並ぶ大混戦を失点率の差で勝ち抜いた。初来日となった14日。フレッチャーは大谷へ連絡を入れたという。この日の前日会見では、日頃ボソボソと取材応対する28歳の表情は喜びに満ちていた。
「大きな試合になる。ショウヘイにいざ勝負。そんな感じです。彼の投球はいつも後ろから見ている。興奮しているし、チームとして戦えるのは大きな喜びだ」
大谷は「お互いにやってみれば分かる。彼のバッティングは見ているし、フレッチも後ろから僕の投球を見ている。個人的には楽しみ。終わってみれば分かる」と笑顔を見せた。2021年までエンゼルスの名物リポーターで、MLBネットワークのアナリストとして来日しているホセ・モタ氏も「2人は本当に仲が良かったからね。楽しみだ」と直接バトルを心待ちにした。大谷とフレッチャーを結ぶ18.44メートル。特別な空気が流れるに違いない。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)