72年ぶりに記録塗り替えた“制球王” 日本ハム・加藤貴之が四球を出さないワケ
加藤貴之はなぜ四球を出さないのか…データで分析
昨季は年間を通して安定感のあるピッチングを見せ、リーグ3位の防御率2.01をマークした日本ハムの加藤貴之投手。8年目の今季は新球場「エスコンフィールド北海道」での開幕投手を任されるなど、首脳陣からの信頼も絶大だ。今回はそんな加藤投手の武器であるコントロールの良さをデータから探っていきたい。
2021年にパ・リーグトップの与四球率1.26(9イニングあたりに与えた四球)を記録するなど、制球力の高さには定評があった。昨季はそこから与四球を半減近くさせ、リーグで断トツとなる与四球率0.67をマークした。規定投球回をクリアしながら与えた四球数「11」は、2リーグ制以降の規定投球回到達者で最少であり、1950年に野口二郎投手(阪急)が残した記録「14」を更新する快挙だった。
四球を少なくするための方法として、まずボール球を減らしてストライクゾーンへ投球することが挙げられる。加藤のストライクゾーンへの投球割合を過去5年分確認してみると、2020年まではリーグ平均をやや上回るくらいであったが、2021年からこの割合が急激に向上した。
昨季のストライクゾーンへの投球割合57.1%は、30イニング以上投げた投手の中でリーグトップだった。当然、痛打のリスクも高まると想像されるが、被打率も.226と優秀な数字をマーク。大胆にストライクゾーンで勝負しつつ、甘い球は投げない。そんな高度な制球力がデータにも表れていた。
次に、ストライク率の推移をストレートと変化球に分けて見てみよう。ストライクゾーンへの投球割合が向上した2021年に注目すると、変化球のストライク率に大きな変化があった。元々変化球のストライク率は高いほうだったが、そのシーズンから投げるようになったカットボールがストライク率73.7%と効果的だったことが要因だ。
ストレートの軌道に近いカットボールの投球割合が増加したこともあってか、翌年にはストレートのストライク率が大きく向上。変化球を狙っている打者の裏をかくといった好循環が生まれていたことが想像される。