「チーム状況を象徴する試合」 苦境のヤクルト、専門家が指摘したバッテリーの“呼吸”
ヤクルトのピーターズ-古賀のバッテリーは試合開始からサインが合わず
■オリックス 4ー1 ヤクルト(16日・神宮)
昨季の日本シリーズ以来となる対戦も完敗だった。ヤクルトは16日に行われたオリックス戦(神宮)に1-4で敗れ4連敗を喫し、借金は今季ワーストの「14」に膨らんだ。野球評論家の新井宏昌氏は「現状では3年連続の日本シリーズはない」と、苦しいチーム状況を指摘した。
オリックスの山崎福にまたしても手玉にとられた。昨年の日本シリーズでは2度対戦し9イニングを無得点に抑えられた因縁の相手。この日も5回まで2安打と打線は沈黙し、6回は無死満塁の好機を作るも得点はサンタナの二ゴロ併殺間に奪った1点のみ。
投げても先発のピーターズは2回に9番・山崎福に先制適時打を許すなど一挙3失点。リリーフ陣が踏ん張りを見せるも、打線が援護できず投打は噛み合わない。中日と並び5位に沈む昨季の王者の現状に新井氏は「退団したマクガフに代わり田口は頑張っているが、その他は復調の気配が見えてこない」と語る。
開幕に出遅れた塩見が5月4日に復帰したが、同26日に離脱し1番打者が不在。3冠王の村上、山田と中軸の状態は上がらず、チーム打率.231はリーグワーストと打線の流れが作れない状況だ。ただ、16日の試合に関しては「試合が始まった瞬間から疑問に思うことがあった」と、新井氏は口にする。
注目したのは先発・ピーターズと古賀のバッテリー。試合開始直後から呼吸が合わず、何度もサインに首を振る場面が目立った。意図して行ったのかは不明だが新井氏は「普通は試合前にコーチや通訳を含め、相手打者を照らし合わせてミーティングを行う。それなのにプレーボールから合わない。なぜ、ここまでサインを決めるのに時間がかかるのか不思議だった。投手のリズムが悪いと流れは作りづらい」と、振り返る。
新井氏は1軍コーチを務めた経験から「こういったのは野手にも伝染していく」とし「後ろで守っている野手7人に不安要素を見せているようなもの。ベンチも不安になる。今のチーム状況を象徴する内容だった」と、バッテリー間のリズムの悪さを指摘した。
日本シリーズではオリックスと2年連続で痺れる戦いを見せたヤクルト。11月には3度目の再戦を期待する声もあるが「このままの状況が続けばAクラス入りも厳しい。野手では不振を抜け出せない村上、山田につきる。まだ歯車は噛み合っていない」。首位・阪神とのゲーム差は「15」に拡がった。セ王者の巻き返しはいつ訪れるのだろうか。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)