“穴”をふさいで16年目の大復活 鷹の巧打者を9年ぶりタイトルに導く「大転換」
中村晃に2014年以来9年ぶりとなる最多安打の可能性
ソフトバンクの中村晃外野手が、交流戦終了時点でパ・リーグトップの69安打を放ち、打率.289と好成績を残している。プロ16年目、33歳のベテランは2014年に最多安打のタイトルを獲得した経験を持ち、今季は実に9年ぶりとなる打撃タイトル獲得のチャンスとなっている。
今回は、中村晃の球歴に加え、セイバーメトリクスで用いられる各種の指標や、コース・球種別の打率といったデータを紹介。それらの具体的な数字をもとに、チームの黄金期を支えた巧打者が、鮮やかな復活を果たしつつある理由に迫っていきたい。(記録は6月21日終了時点)
中村晃は、2007年の高校生ドラフト3巡目でソフトバンクに入団。プロ入りから5年間は1軍定着を果たせなかったが、6年目の2013年には自身初の規定打席に到達し、打率.307を記録。チャンスメーカーとして頭角を現し、主力の座をつかむ飛躍のシーズンを送った。
続く2014年は打率.308と前年に引き続いて打率3割をクリアし、キャリア最多の176安打を記録。自身初タイトルとなる最多安打に輝く大活躍を見せた。翌2015年もレギュラーとして活躍し、3年連続で打率3割以上を記録。アベレージヒッターとしての才能を開花させ、チームのリーグ連覇、2年連続日本一にも大きく貢献を果たした。
2016年も不動のレギュラーとして全143試合に出場し、キャリア最高となる出塁率.416を記録。2017年にはやや打率を落としたが、主力打者として2年連続となる全試合出場を達成した。2018年は自己最多の14本塁打を放ち、キャリア最高のOPS.804を記録するなど、長打力の向上も示した。
2019年には自律神経失調症と故障の影響で44試合出場にとどまったが、2020年は100試合に出場して打率.271と一定の数字を記録し、一塁手として自身初のゴールデングラブ賞。そこから3年連続受賞を果たすなど守備での貢献は大きかったが、打撃面ではかつてほどの高打率を残せずに苦しんでいた。