大谷翔平の“初登板”生観戦 空軍士官学校から転入した163キロ右腕…全米ドラ1の素顔
パイレーツが全体1位でポール・スキーンズを指名した
MLBのドラフト会議が9日(日本時間10日)、シアトルで始まり、パイレーツが全体1位でポール・スキーンズ投手(21=ルイジアナ州立大)を指名。全体2位はナショナルズが、ディラン・クルーズ外野手(21=ルイジアナ州立大)を指名し、史上初の同じ大学からの1位、2位指名となった。両者ともに早い時期にメジャー昇格が見込まれる逸材だが、近い将来、チームのエース格として大きな期待がかかる160キロ右腕のスキーンズは、大谷翔平に影響を受け二刀流に取り組み、晴れの上位指名につなげた。【シアトル(米ワシントン州)=木崎英夫】
3日間にわたり行われる同会議の初日で、全米が注目したのが全体1位の「いの一番」指名。その栄冠をパイレーツが選択したスキーンズが射止めた。そして、全体2位でナショナルズから名前を読み上げられたのが、クルーズだった。
スキーンズはアナハイム近郊の出身で、大谷の本拠地初登板となった2018年4月8日のアスレチックス戦をエンゼル・スタジアムで観戦している。当時15歳だった少年は「見ていてとても楽しいが、プロレベルでやるのは想像がつかない」と話し、その後、二刀流にも挑戦していたが、198センチの長身を生かすため空軍士官学校から転入したルイジアナ州立大で投球に専念。6月26日にオマハで行われた全米大学選手権のセミファイナル・シリーズ、対ウェイク・フォレスト大戦で、自己最速に迫る101マイル(約163キロ)のストレートを繰り出し、シーズン記録の202奪三振を塗り替える快挙を達成した。
スキーンズは、今季12勝2敗、防御率1.69の成績を残し栄えある全体1位で指名された。
全体2位は大学球界最高の外野手の呼び声が高いディラン・クルーズ
全体2位で選択されたのは、大学球界最高の外野手の呼び声が高いクルーズだった。6月の全米大学選手権で14年ぶり7度目の優勝を飾った名門ルイジアナ州立大の主軸打者としてスキーンズとともにチームを牽引。今季71試合に出場して打率.426、18本塁打、70打点。出塁率は.567を誇った。選球眼も良く、全チームの中で最多の71四球を記録している。
クルーズは、高校生だった2020年のドラフトでも上位指名候補リストに入っていたが、開催1週間前になって自らエントリーを辞退。ルイジアナ州立大の名将ジェイ・ジョンソンの指導を仰ぐため、大学進学の道を選んだ。技術を磨き精神面を鍛えあげ、天賦の才を担保する揺るぎのない自信を得て、全体2位指名の栄光を手にした。
昨年と同様に今年も「オールスターウィーク」期間に組み込まれたドラフト会議は、球宴当日の11日(同12日)まで3日間実施され、各球団は20巡目まで指名する。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)