巨人から加入…石川慎吾は新天地で輝けるか ロッテが“異例”のトレード敢行したワケ
日本ハムに入団後、巨人を経て小沼健太との交換トレードでロッテへ
巨人・石川慎吾外野手とロッテ・小沼健太投手のトレードが今月3日に発表された。ロッテに移籍した石川慎は早速、8日の日本ハム戦で決勝タイムリーを放つなど存在感を発揮。飛躍が期待される。今回は石川慎の球歴や特徴を紹介。ロッテが近年行ったトレードの具体例や成功例についても振り返る。(記録は7月8日終了時点)
石川慎は2011年ドラフト3位で日本ハムに入団。2年目の2013年に1軍デビューし、2014年から2年連続で40試合以上に出場した。打率.074に終わった2016年オフに大田泰示外野手、公文克彦投手とのトレードで、吉川光夫投手と巨人へ移籍した。
新天地で迎えた2017年には自己最多の99試合に出場し打率.242、5本塁打を記録。外野のスーパーサブ的な存在として存在感を発揮した。2019年は55試合出場で、OPSは自己最高の.773。その後も出場機会こそ限られたものの、2軍では2018年からの6年間で5度の打率3割超え。1軍でも2020年に打率.244、2022年は.276と、一定の打撃成績を残した。
通算打率.227に対して、通算出塁率は.281。打率と出塁率の差を示す「IsoD」は通算.053で、打席での忍耐力や選球眼を示す「BB/K」もキャリア平均が.306と高くない。ボールを見極めるというより、積極的に振りに行く打撃スタイルであることがうかがえる。
一方で、真の長打力を示すとされる「ISO」は通算.124とほぼ平均値の数字を維持。2019年には76打席で4本塁打を放ち、ISOも.200と優秀な水準を記録した。ロッテは長年にわたって長打力不足に悩まされているだけに、パンチ力を持つ石川慎の加入が、弱点を補うかもしれない。
また、本塁打を除いたインプレーの打球が安打になった割合を示す指標「BABIP」は通算で.272。平均値とされる.300を大きく割り込んでいる。BABIPは2015年から2021年まで7年連続.300以下で、長年にわたって不運が続いていたと考えられる。
バッテリーの補強が多い中で、唯一の例外がチームを支える成功例に
今回を除くと、ロッテが2013年以降に成立させた選手同士のトレードは全部で8件。獲得した選手のポジションは投手が5人、捕手が2人、外野手が1人だ。唯一の例外となった岡大海外野手のケースでは、荻野貴司外野手の故障離脱に伴い、センターを守れる俊足の外野手にニーズが生じていた。今回も荻野貴と高部瑛斗外野手の離脱が長引いていることに伴い、外野手が補強ポイントのひとつとなっていた。
近年のロッテはトレード補強の即効性が高いことも特徴だ。2020年途中には澤村拓一投手を獲得。剛腕は新天地で復活し、22試合で13ホールド1セーブ、防御率1.71と大活躍した。澤村のメジャー移籍もあり、2021年途中には国吉佑樹投手を補強。25試合で17ホールド2セーブ、防御率1.44を記録した。
同じく2021年途中に加入した加藤匠馬捕手も、巧みなリードと強肩による盗塁の抑止力を生かし、多くの投手の成績を良化させた。今季もシーズンイン直前に獲得した西村天裕投手が開幕から21試合連続無失点をマークするなど活躍を続けている。昨季途中に獲得した坂本光士郎投手も、現在は登録を抹消されているものの存在感を発揮していた。
ロッテが近年トレードで成功を収めた例は、大半がディフェンス面の補強を狙ってのものだった。石川慎が新天地で確固たる地位を築けるか。これまでとは方向性の異なるトレードがロッテにとって新たな成功例となるか。要注目だ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)