「勇気を持って」―東北OB斎藤隆氏が宮城の3年生部員865人に送った”エール”
25日に組み合わせが決定、不祥事の仙台育英はノーシードで出場
第100回全国高校野球選手権記念宮城大会の組み合わせ抽選会が25日、仙台市内で行われた。例年、組み合わせ抽選会には主将のみが参加していたが、第100回の記念大会ということで、県内の高校野球部に所属する3年生部員865人が参加。日米球界で活躍した東北高OBの斎藤隆氏(現パドレス・ベースボールオペレーションアドバイザー兼環太平洋アドバイザー)の記念講演も行われた。宮城大会は7月14日に楽天生命パーク宮城で開幕し、73校67チームが参加する。
緊張の組み合わせ抽選会では、各チームの主将がボードに校名札をかけていった。まずは春季県大会優勝で第1シードの東北が1番、同準優勝で第2シードの古川学園が67番、同3位で第3シードの利府が34番、春季県大会3位決定戦で敗れた第4シードの石巻が3番とそれぞれ、決まっている番号を読んで校名を掲げていった。続いて、春季県大会で8強入りした4校が抽選し、残りの59校がフリー抽選で組み合わせが決まっていった。
予備抽選で1番だった大崎中央がいきなり2番を引き当て、東北との対戦が決まると、会場ではどよめきが起こった。最も注目を集めたのは秋季県大会優勝の仙台育英。春季大会は不祥事により不参加だったため、ノーシードでの出場で、どこに入るのか関心が高まった。会場がざわつく中、阿部大夢主将が抽選。第3シードである利府のヤマに入り、大会6日目(19日)の第1試合、気仙沼向洋と対戦する。開幕戦は黒川―仙台に決まり、選手宣誓は仙台城南の高橋良平主将が務める。
組み合わせ抽選会を前に、記念講演が行われた。登壇したのは仙台市出身で、東北高3年時の第69回全国高校野球選手権大会に一塁手で出場した斎藤氏。日米で活躍し、現在もパドレスで仕事をしている斎藤氏らしく、アメリカで始まった野球の歴史から話しはじめ、「今まで自分がやってきたことをグラウンドで出すためには勇気が必要。勇気を持って大会に挑んでほしい」と伝えた。
また、トーナメントの一発勝負に臨むに当たり、「知らない間に勝ち抜いた人間は人を蹴落としている。それは勝ち抜いた人間の宿命。(楽天入りした時は)ボロボロの体で、150キロも出ない。全盛期はとっくに過ぎていたが、僕が甲子園に出ることによって、(東北福祉)大学で日本一を獲ることによって、知らない間に負けを経験したすべての野球人の魂を背負って、仙台に、楽天に帰ってきた。勝ったチーム、強いチームというのはそういう宿命を持っているということを忘れないでほしい」と熱く語った。一方で、勝者が生まれれば、敗者も生まれる。斎藤氏は「どうやっても勝てないチームも出る。ゲームセットのコールを聞くまで、勝ちに向かって進んでほしい」とエールを送った。
春季県大会優勝、東北大会準優勝の東北・岩沼和希主将は「公式戦を多く戦えたのは大きい。どこが相手でもやることは変わらない。1戦1戦、しっかり戦っていきたい」と意気込んだ。
(高橋昌江 / Masae Takahashi)