昨季の盗塁阻止ゼロは「勲章」 リーグ2位に“爆上がり”…大躍進23歳の魅力

西武・古賀悠斗【写真:小林靖】
西武・古賀悠斗【写真:小林靖】

西武の2年目・古賀の盗塁阻止率はロッテ・佐藤都に次いでリーグ2位

■西武 3ー2 オリックス(4日・ベルーナドーム)

 西武はリーグ5位ながら、オールスター明けは勝率.700(7勝3敗)の快進撃で、反転攻勢の兆しが見えてきた。プロ2年目でリーグ2位の盗塁阻止率.421を誇る23歳、古賀悠斗捕手の強肩が光る。ルーキーイヤーの昨季は、相手に盗塁を14度企図され、1度も刺せなかった。盗塁阻止率“爆上げ”の秘密とは──。

 4日に本拠地ベルーナドームで行われた首位・オリックス戦。0-0で迎えた6回に、古賀が持ち味を発揮した。無死一塁で相手はランエンドヒットを仕掛けるも、打者の野口智哉内野手は真ん中低めのスプリットを空振り。古賀は難しい体勢から、一塁走者の中川圭太内野手が足から滑り込んで来るところへドンピシャで二塁送球しタッチアウトにした。

 チームは最終的に、岸潤一郎外野手のサヨナラソロで3-2の勝利を収めたが、松井稼頭央監督は試合後「古賀がリードも含めて、よくやってくれています。あそこで盗塁を阻止できるのは、やはり一番の魅力だと思うし、捕ってからの速さ、正確性は、昨年に比べて断然良くなったと思います。ベンチから見ていても安心感があります」と絶賛した。

 昨季まで正捕手だった森友哉がオリックスへFA移籍したことを受け、今季はチーム93試合中59試合でスタメンマスクをかぶり、最近は19試合連続。レギュラーの座を固めようとしている。盗塁阻止率.421は、ロッテの佐藤都志也捕手(.444)に次いでリーグ2位。昨季の正捕手の森は同4位の.328だったが、現状でそれを上回っている。

「昨年は捕ることで精いっぱいでした」

 中大時代も強肩で鳴らしていた。野田浩輔バッテリーコーチは「プロ1年目の昨年も、十分“刺せる捕手”だったのですが、盗塁阻止率が低かったのは、クイックモーションの苦手な投手とばかりバッテリーを組ませてしまったからです。僕から『ごめんな』と謝りましたよ」と明かす。

 昨季の古賀のスタメン出場は20試合。来日1年目だったディートリック・エンス投手(7試合)、アンダースローの與座海人投手(4試合)らと組んだ。

 古賀は「僕がプロの投手の球に慣れたことが一番だと思います。昨年は捕ることで精いっぱいでしたから。リードもありましたし、1年目はいろいろ大変でした」と自己分析する。昨季の盗塁阻止0の屈辱を、「1年目の教訓というか、“勲章”だと思っています。バネにしたいです」と前向きにとらえている。

 若手が台頭し、チーム状態が明らかに上向き始めた西武。とりわけ“古賀キャノン”は見どころだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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