「勝利と髪型は関係ない」証明した慶応ナイン 理不尽感じる高校生の“追い風”に?

夏の甲子園で優勝を果たした慶応ナイン【写真:徳原隆元】
夏の甲子園で優勝を果たした慶応ナイン【写真:徳原隆元】

高校生の約3割が髪型に対して問題提起…「マンダム」の調査結果から考える

 第105回全国高校野球選手権記念大会は、慶応(神奈川)の107年ぶりの優勝で幕を閉じた。髪型は自由、選手主導のチーム作りで掴んだ頂点。選手は丸刈り、監督の指導は絶対という“古き慣例”からの脱却を印象付けた。高校野球界の変化を加速させる夏になったのか――。今春に化粧品メーカー「マンダム」が、高校生と顧問を対象に実施したアンケート結果をもとに、部活動を取り巻く“本音”と、慶応優勝の“意義”を考える。

 今回の意識調査は、生徒の髪型に関し、部活に入っている高校生1000人(運動部7割・文化部3割)と、顧問を担当する高校教員200人を対象に実施。その結果、10人に1人が、髪型を理由に入部を諦めたり、退部したり、その経験を聞いたりしたことがあると回答した。

 さらに、部活生の約30%がヘアスタイルや髪の長さについての問題に言及。運動部生から髪型に関する理不尽なエピソードが314件寄せられ、うち25件が「丸刈りにしなければならない」だった。部活動の障害になっているという声や「丸刈りを理由にその部活に入らない人が増えるとしたらもったいない」という意見が出た。

「髪の長さや髪型で自己表現できることは、部活参加意欲アップや競技等のパフォーマンスアップに繋がると思いますか?」という問いに対しては、約70%が「とてもそう思う」「そう思う」と回答。オシャレや自己表現をすることで、モチベーションが向上するという側面も垣間見える。

 一方、制限する側の教員は、管理方法や自由の度合いの難しさに悩むケースも多い。「オシャレや自己表現の自由度」に関して、約50%の教員が、今の社会の流れとのギャップを感じている結果に。「試合に勝つために髪型は関係なかった」「髪型ルールを自由にしたら生徒の気持ちや個性が見えてきた」という声が集まった一方、「自己表現とわがままの線引きが難しく、なんでも寛容にすることへは抵抗がある」との葛藤も聞こえてきた。

 優勝を決めた直後、慶応・森林貴彦監督は「優勝することで、新たな可能性、多様性を示せればいいと。常識を覆そうと頑張ってきた」と語った。新しい価値観を示して甲子園を席巻したナインの姿は、高校野球の“当たり前だった丸刈り”に一石を投じた。

(Full-Count編集部)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY